2021.10.25所長・COVID-19記事
【許先生インタビュー】富士堂漢方薬局本店(飯田橋店)改装記念
東京飯田橋での薬局開業から17年。渋谷にも店舗を構え、本格的漢方治療・安心感ある雰囲気が評判の富士堂漢方薬局。
今回は、本店(飯田橋店)リニューアルオープンを記念して、代表の許志泉先生にお話を伺いました。
先生が提唱する「SCI方証医学」の他、医学・漢方の道に進んだきっかけ、漢方相談で心がけていることや若々しさの秘訣など、先生のお人柄も感じられる内容となっておりますので、ぜひご覧ください。
>>関連ブログ「飯田橋店リニューアル!木のぬくもりあたたかな漢方薬局」
■富士堂の沿革
2004年:富士堂調剤薬局が誕生
2009年:漢方相談を行う漢方専門薬局として、富士堂漢方薬局本店(飯田橋店)オープン
2011年:富士堂漢方薬局 渋谷店
2021年3月:本店リニューアルオープン
--リニューアルオープンおめでとうございます!おしゃれなカフェのような雰囲気ですね。コンセプトや、大切にしたことを教えてください。
漢方医学における「天人合一、自然調和」をベースに、落ち着いた色合いの木材を生かした心穏やかになれる空間を目指して改装しました。
また、大都会にいながらも四季を感じられるよう、店内のお花を季節ごとに替えていますので、そちらもぜひお楽しみください。
--入口でもお出迎えしてくれる、瓢箪の薬局ロゴも素敵ですね。
瓢箪は中国では昔から縁起物とされ、丸薬の入れ物としても使われていました。そのため、玄関の脇にかけられた瓢箪は診療所だという目印としても用いられたのです。
「懸壺済世(瓢箪を掛け、世を病から救う)」という言葉があります。
皆の健康のため善き心をもって診療を行った先人の教えを忘れない という戒めから、瓢箪をモチーフにロゴを作りました。
--ロゴに込める思いからも、患者さまの健康のために真摯に向き合う志を感じます。先生が医学・漢方の道に進んだたきっかけを教えてください。
私の故郷は江蘇省興化市の農村で、19歳までは電気もなく「日出而作、日落而息(日の出とともに労作し、日没とともに休息に入る)」という昔ながらの自然に溶け込んだ生活をしていました。
当時そこでは病院もなく貧しかったこともあり、みな病気になっても我慢をするのが当たり前で、倒れてようやく手漕ぎの船に乗せられ2時間かけて小さな病院に運ばれる、といった具合でした。
思えばこうした経験が、医学を志すきっかけになったのかもしれません。
その後、18歳で全国大学入試(高考)を経て、幸いにも南京中医薬大学 中医学部への入学を果たしました。
在学中に休暇で帰省した際は、人々を診察し漢方で治療していました。その中でも大学2年生の頃、結婚式を目前に控え酷い寝汗に悩んでいた同級生に、習ったばかりの桂枝湯がちょうど合うのでは?と与えたところ、1週間で完治。漢方の効果に感銘を受けたことが印象深く、中医学をさらに深く研究するようになりました。
--その後、来日してから23年ということですが、大学時代や日本に来てから苦労したことはありますか?
勉強や研究などは大好きだったので、さほど苦に感じませんでした。
日本語は大学で2年間学んだのですが、日本語はいまだによく間違えるので難しいですね。文法とか、細かなニュアンスとか…これからも頑張っていきます!
また、開業からこれまで、家族と従業員さんたちにはいつも支えられてばかりで、本当に感謝しています。
--許先生の漢方相談が終わると、明るく安堵の表情で相談室から出てくる患者さまが多いと聞いています。患者さまと向き合う上で心がけていることはありますか?
患者さまは我々の教科書です。患者さまを尊重しながら、親身になって一緒に考え、漢方治療をしていくことを心がけています。
--漢方治療の効果を実感した、印象的なエピソードはありますか?
沢山ありますが、ひとつピックアップしますね。
退職前の50代の男性で、出血性胃潰瘍を患い入院を経て治った後、躁うつ病になった方がいらっしゃいました。
無気力になりイライラしたり、落ち着かなかったり、のぼせたり、また、集中しづらくなり質問されたことに対してちぐはぐな返答をすることが目立ち、6か月間の休職を余儀なくされたそうです。しかし休職をしても治らず、西洋薬には頼りたくないとのことで漢方治療にご来店されました。
その方にお出ししたのは三黄瀉心湯という煎じ薬で、三種類の生薬のみで構成される処方でした。
すると、1度目を服用してすぐに「大変落ち着けるようになった」と感じたそうで、数日もするとあんなに不快だった症状が大分軽快し、その後2か月で完治に至りました。
私としても「ここまでの即効性が出るとは」と驚きましたし、漢方は証がぴたりと診断できれば、このように驚くほど速く効くものかと感慨深かったです。
--先生が提唱されている「SCI方証医学」とは?伝統的な中医学・漢方医学との違いも教えてください。
まず、伝統的な中医学には概念が多く存在している反面、具体性に欠けていたり数が多すぎたりと臨床では使いこなすのが難しいという一面がありました。
その後中医学は日本に伝来し、「薬証」と「方証」というかたちで整理整頓され日本の漢方医学として確立されました。
これは従来の中医学より具体性が増し体系付けられたことにより臨床ではだいぶ使いやすいものへと発展しました。そしてそこへさらに「体質」の概念を追加し、中医学の知識とも紐づけてさらなる具体性と応用性を持たせたものが私の提唱する「SCI方証医学」です。
これを活用し富士堂では日々、患者さまと向き合っております。
>>SCI方証医学について詳しくはこちら「【東洋医学会シンポジウム】漢方医学の証、漢方の効き方|所長報告」
>>SCI方証医学を学びたい方に!書籍発売中「許先生「漢方求真」出版記念講義|東京中医薬研究会定例会」
>>SCIに基づく漢方治療症例でよく読まれている記事「緑内障視野欠損1/3以上改善| 眼科医もビックリ」
--いつも元気で若々しい許先生。取り組まれている健康・養生法などありますか?
これといって特別なことはしておりませんが、このようなことを心がけています。
①就寝、起床、食事など、規則的な生活をすること
②人生の目標を立ててコツコツ努力すること。これは心を若く保つには大切だと思っています
③好き嫌いせず、食べ過ぎないこと
④運動量をキープすること。具体的には、毎日歩いて軽く筋トレをしたり、週1回は卓球をしたり、週に1-2回の瞑想や呼吸法を行ったりなどです
--毎日の心がけ、私も見習はなくては...! 休日はどのように過ごしていますか?
散歩や公園巡り、登山、卓球に行ったり、医学の研究をしたりしていますね。
↑許先生が休日に撮影した一枚
--好きな食べ物はありますか?
なんでも好きです。でもお酒はすぐに酔ってしまうので飲めません。
--大切にしていることや座右の銘を教えてください。
出会った人を大切にすること。座右の銘は「腑に落ちるまで研究せよ」です。
--今後の取り組みや目標について、お聞かせください。
漢方医学は途方もない長き歴史と先人による途轍もない量の研鑽の上に成り立っています。これを現代に、そして未来にも適したものに発展させていくことは一筋縄ではいきません。
しかし、そこを目指し走り続けることは漢方医学界だけでなくひいては人類の未来のためにもなるものだと信じて止みません。
そのためにも漢方医術の研鑽、人材教育などにこれからも注力していきたいと思います。
↑日本中医薬研究会での講義
--最後に、みなさまへのメッセージをお願いいたします。
コロナ禍に入って久しく、見通しの立たない日々に疲弊することもあるでしょう。私も4名の重症者を含む70名のコロナ患者を治療し患者さまの様々な感情に触れてまいりました。
そんな中でつくづく感じたのは「強さとは優しさ」だということです。こうした困難な時だからこそ、助け合い、優しさを分かち合いながら凛と生きていたいものですね。
>>コロナ漢方治療記事「新型コロナウイルス感染症39例の漢方治療レポート」「漢方を用いた新型コロナウイルス肺炎治療の実例」
■許先生経歴
1982年9月~1987年7月:南京中医薬大学 中医学部に入学、卒業
1987年8月~1998年2月:卒業後、同大学付属江蘇省中医院内科、中医薬文献研究所、老年医学研究室、南京中医薬大学学報編集、講師、医学修士号取得
1998年3月~2003年3月:順天堂大学医学部膠原病リウマチ内科学にて、協力研究員、医学博士号取得
2003年4月~:富士堂漢方医学研究所を開設し、鍼灸マッサージ治療院、富士堂調剤薬局を経て、現在、富士堂漢方薬局飯田橋店・渋谷店を開設するとともに漢方の臨床、教育、研究に尽力
所属学会:日本東洋医学学会、東亜医学協会、日本リウマチ学会、日本臨床免疫学会
>>許先生の紹介はこちら「富士堂漢方薬局スタッフ紹介」
>>許先生の研究について「所長研究業績」
■漢方相談予約・お問合せ>>「お問い合わせ(LINE,WeChat,Skype,メールフォーム」
■オンライン相談も受付中!>>「オンライン漢方相談|来店なしでお薬お届け」
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