2018.09.26>下痢・慢性下痢
下痢の原因・症状・診断及び漢方治療
下痢(げり)とは、普段の便と比較して、異常に緩い、形に成れない、若しくは液体状の便のことです。
漢方の視点から見ると、下痢とは何らかの原因で、水(すい)のバランスが崩してしまって、水が身体から異常に出ることをさします。
西洋医学、漢方医学どちらとも、主に消化機能の異常といわれています。
ストレスや食事などの生活習慣、あるいはもともと体質虚弱で下痢をしやすい方もあれば、食中毒・暴飲暴食・冷えなどによって急に起こる場合もあります。
特に、漢方薬は原因不明の消化機能異常にも効きます。患者さんの症状、体質により、いろいろな漢方対策が有ります。
漢方薬を用いて冷えを改善して胃腸の調子を整えたり、ストレス緩和をするなど、症状によって処方も変わってきます。
中医学では患者の症状によって、急性下痢症を湿熱型と傷食型の二つタイプに分けます。
慢性下痢症を脾胃虚弱型と脾腎陽虚型の二つタイプに分けて治療します。
下痢の分類は原因により(炎症性、非炎症性)、経過により(急性:1~2週間、慢性:2週間以上)などがあります。
急性下痢はウイルスや細菌の感染、薬物などの中毒によるもの、食品アレルギーなどをよく考えられます。
慢性下痢は大腸や小腸の器質的疾患(がんやポリープ、クローン病など)、糖尿病、甲状腺機能亢進症などによって起こる場合がありますが、
検査を行っても原因が見つからないことも少なくありません。
炎症性下痢
ウィルス性感染により
嘔吐・吐き気・下痢・腹痛などの胃腸症状を主とする感染症です。熱も伴うこともあります。
ロタウイルス胃腸炎、カリシウイルス胃腸炎、腸管アデノウイルス胃腸炎、アストロウイルス胃腸炎
コロナウイルス(秋~冬)、コクキッサーウイルス(夏)などが挙げられます。
細菌性感染により
腹痛、嘔吐、発熱、下痢(水様便、粘血便)などがみられます。
サルモネラ、病原大腸菌(O157を含む)、カンピロバクターの3つの菌が重要で、これらではしばしば血便がみられます。
その他、腸炎ビブリオ、ウェルシュ菌、セレウス菌、エルシニア菌、エロモナス菌、プレシオモナス菌なども原因になります
アレルギー性腸炎により
下痢、嘔吐、腹痛が一般的な症状で、じんま疹やぜんそく、血圧低下を起こすこともあります。
特定の食物がアレルゲン(アレルギーの原因物質)となって、腸内で過敏症状をしめす病気です。
食べて数分から1時間で発症するタイプと、数時間から2、3日で発症するタイプにわかれます。
過敏性腸症候群
腹痛や便通異常(便秘、下痢、便秘・下痢を繰り返す交替型)などといった症状が現れる病気です。
腸の運動を司る自律神経に異常があったり、精神的不安や過度の緊張などを原因とするストレスなどが引き金となる場合があります。
自律神経系が不安定であったりする人が、暴飲暴食やアルコールの多量摂取などを行ったり、不規則不摂生な生活、過労や体の冷えなどの状態に置かれた場合に症状が発生する場合があります。
潰瘍性大腸炎
持続的または反復性の粘血便、下痢、腹痛が主症状です。精神状態としては、不安、過敏、抑うつ症状がみられることがあります。
原因不明の大腸粘膜の慢性炎症でびらんや潰瘍を形成するものです。
病因としては、細菌感染説、アレルギー説、自己免疫説とともに心因説が考えられています。
心理・社会的ストレスで発症したり、症状が悪化することは臨床上広く知られており、身体的治療とともに心理的な治療も考慮されるべき病気です。
クローン病
典型的症状には、6週間を超える下痢、腹痛、体重減少などが起こります。全身症状としては倦怠感、食欲不振、発熱がよくみられます。
原因はいまだ不明ですが、遺伝、感染、免疫異常が考えられています。
2001年には遺伝子検索から、消化管内粘膜における細菌認識に影響を与えるNOD2という分子の異常が報告され、腸内細菌へのアプローチの必要性が指摘されてあります。
大腸癌
便通異常、腹痛、腹部膨満感などがあり、血便を伴うこともある。
がんが成長すると、腸管をふさいで便秘が起こる場合と、逆に便の詰まりを防ぐため、大腸が自然に水分の吸収を抑え、下痢になる場合があります。
大腸がんの原因で一番多いと指摘されているのが食生活と思われています。
また、お酒とたばこ、遺伝、運動不足なども大腸がん発生の危険因子です。
腸結核
腹痛、下痢、発熱、体重減少などがみられますが、症状があまりはっきりしない場合もあります。
原因として、結核菌が腸に侵入し、炎症を起こして潰瘍を形成する病気です。
膵性下痢
長期間続く上腹部の痛みと、左肩のこりと、胃の後方の背痛があります。
特に食事をするとお腹がはって苦しくなり、げっぷ、ガスの出が多く、酸っぱいにおいのする軟便または下痢を見ます。体重も減って非常に疲れやすくなります。
慢性膵炎で胃液の分泌が減り、消化不良と吸収障害を起こし下痢となります。よう
胃腸管切除後慢性下痢
食べ物の残骸を混じっている下痢を見ます。
胃腸管手術を受けてから、消化機能が低下するため、食べ物の消化や吸収が不十分になり、下痢を起こします。
● 下痢、軽い腹痛、その他にはあまりない
☆ 単純な胃腸炎。
寝冷え、食べすぎ、飲みすぎが原因。
● 下痢、劇腹痛、吐き気、嘔吐
☆ 食中毒 ・ウィルス性腸炎
魚介類や肉類、鶏卵など
真空パック加工品、缶詰めなどを食べたり
● 下痢、腹痛、嘔吐など。
「卵」や「牛乳」「大豆」「ピーナッツ」「魚介類」「麦」などを食べてから出て来ました。
☆ アレルギー性腸炎
原因となるアレルゲン物質。
また、食品添加物などにも原因となるものがあります。
● 下痢と便秘が交互に起こる、腹痛を伴うこともある。
☆ 過敏性大腸症候群(※過敏性腸症候群にリンクする)
*慢性下痢の原因では最も多いと思われています。
● 強い腹痛、水様、多量の粘液と血液が便(粘血便)に混じる。
☆ 炎症性腸疾患。潰瘍性大腸炎(※潰瘍性大腸炎にリンクする)、クローン病(※クローン病にリンクする)
● 便の中に、食物の肉片や脂肪が混じっている下痢。
☆ 膵性下痢。慢性膵炎、すい臓癌など消化力が弱まる病気
● 慢性的な下痢、腹痛を伴っていない血便(痔を除く)、体重減少など
☆ 大腸癌
● 下痢、腹痛、発熱、体重減少、下血など、結核を罹患する可能性が高い方。
☆ 腸結核
臨床上、個人差や症状により、診断が難しいため、専門家にお訪ねて下さい。
漢方では患者の体質、症状によって、急性下痢症を湿熱型と傷食型の二つタイプに、また慢性下痢症を脾胃虚弱型と脾腎陽虚型の二つタイプに分けて治療する。
乳幼児では先天不足(早産児、遺伝病など)の原因で脾胃がもともと虚弱状態であるか、後天失調(不規則の食事)によって脾胃を傷つけ、下痢を起こす。
いろいろな病気が原因で脾胃を弱くさせ、脾胃の機能を乱し、下痢も起こる。
下痢により、水穀精微(栄養成分)の吸収が障害され、顔色が悪く、倦怠無力、元気がないなどの気血両虚の症状が見られる。
脾胃の虚弱は更に腎に影響する。腎陽は脾胃の消化吸収機能に関わっている。
a 下痢となっている原因を取り除くこと
牛乳などアレルギーゲンと思われるものを飲んで下痢が起こっている場合、それらを飲まないようにすれば下痢は収まります。
また、食べ過ぎ・飲み過ぎが原因で下痢が起こっている場合でも、それを控えれば問題ありません。
感染により、下痢する場合、簡易に下痢止めを飲むと、非常に危ないです。
その下痢が重度化や慢性化に変えるのは十分可能です。
治療には清熱解毒の処方を使って、病原体を取り除きます。
慢性の下痢の場合、原因をはっきりとわからなくても、漢方治療も出来ます。
患者さんの症状と体質に合わせる処方を出します。
b 下痢を止めること
急性下痢症を治療する時に、湿熱型に清熱解毒、利湿止瀉法を用い、傷食型に消食導滞、理脾和胃法を用いる。
慢性下痢症を治療する場合には、脾胃虚弱型に健脾益気法を用い、脾腎陽虚型に温腎健脾法を用いる。
c 下痢後、体を回復させること
下痢した患者は、体力を消耗し、虚した状態にあると考えられます。
一応下痢が緩和しましたが、胃腸はまだ弱い状態です。
栄養豊富なものを一気に食べると、消化ができなくて、また下痢を繰り返すのは可能です。
治療には体の調子を整え、胃腸をよく働かせる漢方処方を使われます。
漢方で下痢を治療処方がたくさんあります。すべて下痢を止めることではありません。
a 湿熱型
症状: 発熱、下痢、水様便、口渇、食欲不振、悪心、嘔吐など。舌は赤い、苔黄膩、脈滑数。
治療方針: 清熱解毒、利湿止瀉
漢方薬: 葛根 黄連 黄? 茯苓 木香 沢瀉 猪苓 蒼朮 陳皮など
b 傷食型
症状: 飲食不規則による下痢。便と未消化の食べ物混ざっている、腹痛、食欲不振、悪心、嘔吐など。舌は正常赤い、苔厚膩、脈緩、あるいは数。
治療方針: 消食導滞、理脾和胃
漢方薬 : 神曲 焦山ざ 茯苓 木香 麦芽 鷄内金 半夏 丁香 穀芽 蘿葡子など
c 脾胃虚弱型
症状: 下痢、水様便、食欲不振、顔色が悪い、元気がない、倦怠感。舌質は淡、苔薄白、脈虚細。
治療方針: 健脾益気
漢方薬 : 人参 茯苓 白朮 白へん豆、陳皮、山薬、縮砂、連肉、ヨクイニン、桔梗、大棗など
d 脾腎陽虚型
症状: 水様性下痢、脱肛、夜明けに下痢、痩せ、顔色青黒、腰や下肢の脱力感、四肢の冷え、寒がりなど。舌は淡白、苔白い、脈は沈細、無力。
治療方針: 温腎健脾
漢方薬: 附子 党参 白朮 補骨脂 呉茱萸 肉豆寇 伏竜肝 五味子 干姜など
漢方の視点から見ると、下痢とは何らかの原因で、水(すい)のバランスが崩してしまって、水が身体から異常に出ることをさします。
西洋医学、漢方医学どちらとも、主に消化機能の異常といわれています。
ストレスや食事などの生活習慣、あるいはもともと体質虚弱で下痢をしやすい方もあれば、食中毒・暴飲暴食・冷えなどによって急に起こる場合もあります。
特に、漢方薬は原因不明の消化機能異常にも効きます。患者さんの症状、体質により、いろいろな漢方対策が有ります。
漢方薬を用いて冷えを改善して胃腸の調子を整えたり、ストレス緩和をするなど、症状によって処方も変わってきます。
中医学では患者の症状によって、急性下痢症を湿熱型と傷食型の二つタイプに分けます。
慢性下痢症を脾胃虚弱型と脾腎陽虚型の二つタイプに分けて治療します。
1.下痢の主な原因と症状
下痢の分類は原因により(炎症性、非炎症性)、経過により(急性:1~2週間、慢性:2週間以上)などがあります。
急性下痢はウイルスや細菌の感染、薬物などの中毒によるもの、食品アレルギーなどをよく考えられます。
慢性下痢は大腸や小腸の器質的疾患(がんやポリープ、クローン病など)、糖尿病、甲状腺機能亢進症などによって起こる場合がありますが、
検査を行っても原因が見つからないことも少なくありません。
①急性下痢の場合
炎症性下痢
ウィルス性感染により
嘔吐・吐き気・下痢・腹痛などの胃腸症状を主とする感染症です。熱も伴うこともあります。
ロタウイルス胃腸炎、カリシウイルス胃腸炎、腸管アデノウイルス胃腸炎、アストロウイルス胃腸炎
コロナウイルス(秋~冬)、コクキッサーウイルス(夏)などが挙げられます。
細菌性感染により
腹痛、嘔吐、発熱、下痢(水様便、粘血便)などがみられます。
サルモネラ、病原大腸菌(O157を含む)、カンピロバクターの3つの菌が重要で、これらではしばしば血便がみられます。
その他、腸炎ビブリオ、ウェルシュ菌、セレウス菌、エルシニア菌、エロモナス菌、プレシオモナス菌なども原因になります
アレルギー性腸炎により
下痢、嘔吐、腹痛が一般的な症状で、じんま疹やぜんそく、血圧低下を起こすこともあります。
特定の食物がアレルゲン(アレルギーの原因物質)となって、腸内で過敏症状をしめす病気です。
食べて数分から1時間で発症するタイプと、数時間から2、3日で発症するタイプにわかれます。
②慢性下痢の場合
過敏性腸症候群
腹痛や便通異常(便秘、下痢、便秘・下痢を繰り返す交替型)などといった症状が現れる病気です。
腸の運動を司る自律神経に異常があったり、精神的不安や過度の緊張などを原因とするストレスなどが引き金となる場合があります。
自律神経系が不安定であったりする人が、暴飲暴食やアルコールの多量摂取などを行ったり、不規則不摂生な生活、過労や体の冷えなどの状態に置かれた場合に症状が発生する場合があります。
潰瘍性大腸炎
持続的または反復性の粘血便、下痢、腹痛が主症状です。精神状態としては、不安、過敏、抑うつ症状がみられることがあります。
原因不明の大腸粘膜の慢性炎症でびらんや潰瘍を形成するものです。
病因としては、細菌感染説、アレルギー説、自己免疫説とともに心因説が考えられています。
心理・社会的ストレスで発症したり、症状が悪化することは臨床上広く知られており、身体的治療とともに心理的な治療も考慮されるべき病気です。
クローン病
典型的症状には、6週間を超える下痢、腹痛、体重減少などが起こります。全身症状としては倦怠感、食欲不振、発熱がよくみられます。
原因はいまだ不明ですが、遺伝、感染、免疫異常が考えられています。
2001年には遺伝子検索から、消化管内粘膜における細菌認識に影響を与えるNOD2という分子の異常が報告され、腸内細菌へのアプローチの必要性が指摘されてあります。
大腸癌
便通異常、腹痛、腹部膨満感などがあり、血便を伴うこともある。
がんが成長すると、腸管をふさいで便秘が起こる場合と、逆に便の詰まりを防ぐため、大腸が自然に水分の吸収を抑え、下痢になる場合があります。
大腸がんの原因で一番多いと指摘されているのが食生活と思われています。
また、お酒とたばこ、遺伝、運動不足なども大腸がん発生の危険因子です。
腸結核
腹痛、下痢、発熱、体重減少などがみられますが、症状があまりはっきりしない場合もあります。
原因として、結核菌が腸に侵入し、炎症を起こして潰瘍を形成する病気です。
膵性下痢
長期間続く上腹部の痛みと、左肩のこりと、胃の後方の背痛があります。
特に食事をするとお腹がはって苦しくなり、げっぷ、ガスの出が多く、酸っぱいにおいのする軟便または下痢を見ます。体重も減って非常に疲れやすくなります。
慢性膵炎で胃液の分泌が減り、消化不良と吸収障害を起こし下痢となります。よう
胃腸管切除後慢性下痢
食べ物の残骸を混じっている下痢を見ます。
胃腸管手術を受けてから、消化機能が低下するため、食べ物の消化や吸収が不十分になり、下痢を起こします。
2.下痢の西洋医学的な診断
①急性下痢の場合
● 下痢、軽い腹痛、その他にはあまりない
☆ 単純な胃腸炎。
寝冷え、食べすぎ、飲みすぎが原因。
● 下痢、劇腹痛、吐き気、嘔吐
☆ 食中毒 ・ウィルス性腸炎
魚介類や肉類、鶏卵など
真空パック加工品、缶詰めなどを食べたり
● 下痢、腹痛、嘔吐など。
「卵」や「牛乳」「大豆」「ピーナッツ」「魚介類」「麦」などを食べてから出て来ました。
☆ アレルギー性腸炎
原因となるアレルゲン物質。
また、食品添加物などにも原因となるものがあります。
②慢性下痢の場合
● 下痢と便秘が交互に起こる、腹痛を伴うこともある。
☆ 過敏性大腸症候群(※過敏性腸症候群にリンクする)
*慢性下痢の原因では最も多いと思われています。
● 強い腹痛、水様、多量の粘液と血液が便(粘血便)に混じる。
☆ 炎症性腸疾患。潰瘍性大腸炎(※潰瘍性大腸炎にリンクする)、クローン病(※クローン病にリンクする)
● 便の中に、食物の肉片や脂肪が混じっている下痢。
☆ 膵性下痢。慢性膵炎、すい臓癌など消化力が弱まる病気
● 慢性的な下痢、腹痛を伴っていない血便(痔を除く)、体重減少など
☆ 大腸癌
● 下痢、腹痛、発熱、体重減少、下血など、結核を罹患する可能性が高い方。
☆ 腸結核
臨床上、個人差や症状により、診断が難しいため、専門家にお訪ねて下さい。
3.下痢における漢方治療(弁証施治)
漢方では患者の体質、症状によって、急性下痢症を湿熱型と傷食型の二つタイプに、また慢性下痢症を脾胃虚弱型と脾腎陽虚型の二つタイプに分けて治療する。
乳幼児では先天不足(早産児、遺伝病など)の原因で脾胃がもともと虚弱状態であるか、後天失調(不規則の食事)によって脾胃を傷つけ、下痢を起こす。
いろいろな病気が原因で脾胃を弱くさせ、脾胃の機能を乱し、下痢も起こる。
下痢により、水穀精微(栄養成分)の吸収が障害され、顔色が悪く、倦怠無力、元気がないなどの気血両虚の症状が見られる。
脾胃の虚弱は更に腎に影響する。腎陽は脾胃の消化吸収機能に関わっている。
①下痢に対する漢方治療原則
a 下痢となっている原因を取り除くこと
牛乳などアレルギーゲンと思われるものを飲んで下痢が起こっている場合、それらを飲まないようにすれば下痢は収まります。
また、食べ過ぎ・飲み過ぎが原因で下痢が起こっている場合でも、それを控えれば問題ありません。
感染により、下痢する場合、簡易に下痢止めを飲むと、非常に危ないです。
その下痢が重度化や慢性化に変えるのは十分可能です。
治療には清熱解毒の処方を使って、病原体を取り除きます。
慢性の下痢の場合、原因をはっきりとわからなくても、漢方治療も出来ます。
患者さんの症状と体質に合わせる処方を出します。
b 下痢を止めること
急性下痢症を治療する時に、湿熱型に清熱解毒、利湿止瀉法を用い、傷食型に消食導滞、理脾和胃法を用いる。
慢性下痢症を治療する場合には、脾胃虚弱型に健脾益気法を用い、脾腎陽虚型に温腎健脾法を用いる。
c 下痢後、体を回復させること
下痢した患者は、体力を消耗し、虚した状態にあると考えられます。
一応下痢が緩和しましたが、胃腸はまだ弱い状態です。
栄養豊富なものを一気に食べると、消化ができなくて、また下痢を繰り返すのは可能です。
治療には体の調子を整え、胃腸をよく働かせる漢方処方を使われます。
②下痢の漢方薬治療
漢方で下痢を治療処方がたくさんあります。すべて下痢を止めることではありません。
a 湿熱型
症状: 発熱、下痢、水様便、口渇、食欲不振、悪心、嘔吐など。舌は赤い、苔黄膩、脈滑数。
治療方針: 清熱解毒、利湿止瀉
漢方薬: 葛根 黄連 黄? 茯苓 木香 沢瀉 猪苓 蒼朮 陳皮など
b 傷食型
症状: 飲食不規則による下痢。便と未消化の食べ物混ざっている、腹痛、食欲不振、悪心、嘔吐など。舌は正常赤い、苔厚膩、脈緩、あるいは数。
治療方針: 消食導滞、理脾和胃
漢方薬 : 神曲 焦山ざ 茯苓 木香 麦芽 鷄内金 半夏 丁香 穀芽 蘿葡子など
c 脾胃虚弱型
症状: 下痢、水様便、食欲不振、顔色が悪い、元気がない、倦怠感。舌質は淡、苔薄白、脈虚細。
治療方針: 健脾益気
漢方薬 : 人参 茯苓 白朮 白へん豆、陳皮、山薬、縮砂、連肉、ヨクイニン、桔梗、大棗など
d 脾腎陽虚型
症状: 水様性下痢、脱肛、夜明けに下痢、痩せ、顔色青黒、腰や下肢の脱力感、四肢の冷え、寒がりなど。舌は淡白、苔白い、脈は沈細、無力。
治療方針: 温腎健脾
漢方薬: 附子 党参 白朮 補骨脂 呉茱萸 肉豆寇 伏竜肝 五味子 干姜など
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