【症例】Aさん　30代、女性。169cm、46Kg

【主訴】慢性下痢
【初診】出産後、仕事に復帰し、多忙で、ストレスが多かく溜まってあり、下痢が出始めた。朝だけで下痢3-4回で、水様性で、軽微腹痛あり、下痢後軽減。食後にも下痢があり、朝ほど酷くはない。繰り返し下痢しても、体重は45－47Kg範囲内変動。その後、下痢はだんだん酷くなり、仕事も止め、専業主婦で生活していますが、子供の教育問題で、ストレスは変わらず。鍼治療を受けてから、便は少し形が出てますが、回数は変わらない、1日2-3回。食欲低下、胃もたれが出やすい。
他院で大柴胡湯去大黄を飲んでいますが、効果がない。
脈は細く、弱く。腹が柔らかい。淡紅舌やや暗い、苔薄白

 

治療＆経過：

下痢が長引き、痩せ、腹痛が有っても軽微である、裏急後重はなくなどを目標し、参苓白朮散を勧めました。一週間後、一日だけ下痢が完全に止まりましたが、他の日には変わらない、腹痛はなくなった。更に一週間で、便の形が少しずつ出てきています。下痢の回数も1-2回の日が増えてきてきた。更に2週間を服用し、下痢ほとんどなくなり、回数も1回になりました。

参苓白朮散料（ジンレイビャクジュツサンリョウ）

効能又は効果：痩せて顔色が悪く、食欲がなく下痢が続く傾向があるものの次の諸症：食欲不振、慢性下痢、病後の体力低下、疲労倦怠※

※漢方業務指針　改訂4版　日本薬剤師会　編

 

コメント：

参苓白朮散は脾胃すなわち消化器に作用するもので、四君子湯を基礎として、虚弱の脾胃を補い、湿邪を除き、食滞をめぐらし、整腸作用があります。平素胃腸虚弱にして食が進まず、泄瀉しやすいもの。また大病後期、微熱、疲労しやすく食欲不振の方に用いられます。人参・白朮・茯苓・甘草で脾胃の虚弱を補い、山薬・薏苡仁・扁豆・れんにくを脾を補い、湿を除く。縮砂を食欲を引出し、桔梗は肺を和し、泄瀉を止める。

富士堂漢方薬局　飯田橋店長　張　冬（ちょう　とう）