Treatment病状別漢方治療

- 耳鼻咽喉や目・口のつらい症状に漢方を
- 1. 耳・鼻・のど・目・口の不調に漢方で向き合う理由
富士堂には、耳鳴り・難聴・中耳炎・副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎・咽喉の違和感・味覚障害・眼精疲労・緑内障・白内障など、耳・鼻・のど・目・口にまつわるさまざまな不調でご相談に来られる方がいらっしゃいます。
こうした症状の多くは、「病院に行くほどではないけれど不快」「治療を続けているが、なかなか改善しない」といったお悩みを背景に持つ方が多いのが特徴です。
また、これらの不調には、加齢や体力の低下、自律神経の乱れ、免疫の過敏反応、慢性炎症など、複数の要因が複雑に関与していることも少なくありません。そのため、全身のバランスに着目する漢方治療が有効なケースも多く見られます。
漢方では、局所の症状だけでなく、それを引き起こす「体質そのものの傾向」や「内臓機能の状態」にアプローチし、根本的な体質改善を通じて回復力を高めることを目指します。
■よくあるご相談内容
緑内障、眼精疲労、耳鳴り、中耳炎、メニエール病、眩暈、耳閉感、副鼻腔炎、慢性副鼻腔炎、後鼻漏、アレルギー性鼻炎、花粉症、嗅覚障害、鼻閉、咽頭炎、咽喉頭異常感症、咽喉のつかえ感、咽頭乾燥感、味覚障害、ドライマウス、舌痛症、口内炎、口角炎、飛蚊症、ドライアイ、閃輝暗点、眼球使用困難症候群、かすみ目、まぶたの痙攣 など
今回はその中でも特にご相談の多い以下の5症状と実際の症例などについて解説いたします。(タップで各項目へ)
- 1. 耳・鼻・のど・目・口の不調に漢方で向き合う理由
- 2. 富士堂における耳鼻咽喉・眼疾・口腔の漢方相談の特徴
- 3. 症状別:漢方治療アプローチ
- ➤3-1. 緑内障
- ➤3-2. 耳鳴り
- ➤3-3. めまい
- ➤3-4. アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎
- ➤3-5. 後鼻漏
- 4. 実際の症例
- 3. 富士堂の漢方が選ばれる理由
- 4. ご相談・カウンセリングの流れ
- 5. 耳・鼻・のど・目・口のお悩みをお持ちの方へ 〜富士堂からのメッセージ〜
2. 富士堂における耳鼻咽喉・眼疾・口腔の漢方相談の特徴
富士堂では、耳・鼻・のど・目・口まわりの不調に対する漢方相談を数多く行っており、急性症状から慢性的なものまで、幅広いご相談に対応しています。まずは丁寧な問診を通じて、症状がいつから、どのように現れているかを詳細にお伺いし、さらに漢方医学の重要な診察法である舌診・脈診・腹診を組み合わせて、体全体の状態やバランスの乱れを総合的に評価します。
緑内障や副鼻腔炎、慢性扁桃炎、口内炎、ドライアイ、耳鳴りといった病名がついているケースでは、すでに受けておられる西洋医学的な治療との関係性を重視し、治療歴・検査データ・現在使用しているお薬などの情報も詳しく確認させていただきます。そのうえで、漢方と西洋医学の両方の視点から現在の体の状態を読み解き、ご希望に応じた治療の方向性をご提案します。
富士堂では、「症状のある部位」だけにとらわれず、全身の巡りや免疫・自律神経の働きとの関連まで視野に入れて考えることを大切にしています。体質や生活背景を統合的にふまえた漢方の処方により、今までの治療では改善が難しかった不調や繰り返す症状に対しても、じっくりと根本からの改善を目指していきます。
3. 症状別:漢方治療アプローチ
1. 緑内障
緑内障は、視神経が障害されることで徐々に視野が狭くなっていく病気で、40歳以上では比較的頻度が高く、日本における失明原因の上位に位置します。初期はほとんど自覚症状がなく進行もゆるやかであるため、気づかないうちに悪化してしまうことも少なくありません。
西洋医学では、眼圧を下げる点眼薬や内服薬、手術などによって進行を抑えることが基本ですが、それでも視野が徐々に狭くなっていくケースや、薬の副作用に悩まされるケースも存在します。そうした中で、体全体の循環や神経機能の状態を整え、視神経の環境改善を図る漢方治療は、緑内障の進行予防や症状の安定化に対して有効な補完的アプローチとなります。
① 漢方医学における緑内障の考え方
漢方では、緑内障を「目だけの病気」とは捉えず、視神経の脆弱化や眼圧調整の不具合が全身の状態とどう関わっているかを重視して考えます。特に、末梢循環の低下(瘀血)や水分代謝の乱れ(浮腫・鬱滞)、神経系の過緊張や慢性疲労による調節機能の低下などが影響すると考えられます。
また、疲れやすい・目が重だるい・頭がしめつけられるように痛い・めまいや耳鳴りがある・寝ても疲れが取れないといった全身症状が伴っている場合、単なる眼の病気というより「体全体の働きの不調」が背景にある可能性が高く、これらを含めて改善を図ることが大切です。
② 緑内障の漢方治療
富士堂では、まず詳細な問診に加えて、舌診・脈診・腹診などの漢方的な診察を通して、全身の状態と眼への負担との関連性を多角的かつ精密に評価します。
そのうえで、視神経の血流改善、眼圧コントロールの補助、神経の過緊張の緩和などを目的とし、体質と病態に合った処方を一人ひとり丁寧に設計していきます。
▼主な症状別の処方例 ※あくまでも一例です
■血流の滞りが強く、視界の重さ・鈍痛・頭重感を伴うタイプ
→ 視神経の血流循環を改善し、瘀血を除くことを目的に以下の処方を検討します。
処方:血府逐瘀丸、冠心逐瘀丹、桂枝茯苓丸、田七人参錠など
■むくみや水分の滞留、めまい・眼圧の変動があるタイプ
→ 体内の水分代謝を整え、眼圧や頭重感を軽減する目的で以下の処方を用います。
処方:五苓散、苓桂朮甘湯、明朗飲など
■視神経の消耗・加齢・体質などによる視力低下があるタイプ
→ 神経・血流・免疫のバランスを重視し、進行予防を図る処方が中心となります。
処方:杞菊地黄丸、八味丸(八味地黄丸)、補中益気湯、柴胡加竜骨牡蠣湯など
これらの処方は、単に視力欠損や眼圧上昇に対処するのではなく、体の内側から視神経の負担を軽減し、長期的な進行抑制や生活の質の向上を目指す漢方治療として、緑内障に対して有用な選択肢となり得ます。
緑内障は長期的な経過をたどるため、焦らずじっくりと体質から整えていくことが大切です。富士堂では、これまで多くの緑内障のご相談を受け、病院治療との併用を希望される方にも、豊富な経験と知識で対応してまいりました。(詳細はブログ記事をご覧ください)
「これ以上視野が狭くなるのが不安」「できるだけ進行を遅らせたい」と感じている方も、どうぞご相談ください。あなたの眼と人生の“視野”を守るために、丁寧に寄り添いながら最適な漢方治療を一緒に考えてまいります。
2. 耳鳴り
「キーン」「ジー」といった耳鳴りは、周囲には聞こえない音が自分だけに聞こえる状態で、睡眠障害や集中力の低下、精神的なストレスを引き起こし、日常生活に大きな影響を与えることがあります。西洋医学では、ビタミン剤や血流改善薬などが処方されますが、根本的な解決に至らないケースや、長期間症状に悩まされる方も少なくありません。そうした中で、体全体のバランスを整え、体質面から耳鳴りの原因にアプローチする漢方治療は、多くの方にとって有効な選択肢となり得ます。
① 漢方医学における耳鳴りの考え方
漢方では、耳鳴りを単なる耳の症状として捉えるのではなく、全身の不調のサインとして考えます。特に、ストレスや疲労による自律神経の乱れ、血流の悪化、体内の水分代謝の滞り、加齢による機能低下などが、耳鳴りの発生や悪化に深く関わっていると捉えます。
また、耳鳴りに伴って、めまい、頭重感、肩こり、不眠、イライラ、疲れやすさといった全身症状がある場合、耳だけの問題ではなく、体全体のバランスが崩れている可能性が高いと考えられます。これらの全身症状を含めて改善を図ることで、耳鳴りの根本的な解決を目指します。
② 耳鳴りの漢方治療
富士堂では、まず詳細な問診に加え、舌診、脈診、腹診など漢方独自の診察を通して、耳鳴りの原因を多角的に分析し、全身の状態と耳への負担との関連性を精密に評価します。
その上で、ストレスや疲労による神経系の過緊張の緩和、耳周囲の血流改善、体内の水分バランスの調整などを目的とし、お一人おひとりの体質や病態に合わせた処方を丁寧に設計していきます。
▼主な症状別の処方例 ※あくまでも一例です
■ストレスや疲労が強く、イライラや不眠を伴うタイプ(高音が多い)
→ 神経の興奮を鎮め、心身のバランスを整えることを目的に以下の処方を検討します。
処方:柴胡加竜骨牡蠣湯、加味逍遙散、半夏厚朴湯など
■耳鳴りの音量が大きく、めまいや頭重感を伴うタイプ
→ 体内の水分バランスを調整し、血流を改善することで、耳鳴りの軽減を図ります。
処方:五苓散、苓桂朮甘湯、当帰芍薬散、釣藤散など
■加齢や慢性疲労による機能低下があり、耳鳴りが常に続くタイプ (低音が多い)
→ 体全体の機能回復を促し、耳の機能をサポートすることを目的に以下の処方を用います。
処方:杞菊地黄丸、八味丸(八味地黄丸)、補中益気湯など
これらの処方は、単に耳鳴りの音を抑えるだけでなく、体の内側から耳鳴りの原因にアプローチし、長期的な症状の改善と生活の質の向上を目指す漢方治療となります。
富士堂では、これまで数多くの耳鳴りのご相談に対応し、豊富な経験と知識で患者様一人ひとりに最適な漢方治療を提供してまいりました。西洋医学の治療でなかなか改善が見られない方や、薬の副作用が気になる方も、どうぞお気軽にご相談ください。
3. めまい
「ふわふわ」「ぐるぐる」「立ちくらみ」といっためまい症状は、単なる平衡感覚の異常に留まらず、日常生活の質を著しく低下させ、精神的な負担をもたらす複雑な病態です。
現代西洋医学では、めまいの原因に応じた専門的治療が行われますが、原因不明や慢性症状の場合は対症療法が中心となるため、根本的な解決が難しかったり、再発を繰り返すケースも見受けられます。
このような状況において、個々の体質に基づき、全身のバランスを包括的に調整する漢方治療は、めまいの原因に深層から働きかける有効な治療選択肢となります。
① 漢方医学におけるめまいの考え方
漢方では、めまいを単に耳や脳の問題と捉えず、全身の不調が引き起こすサインと考えます。特に、体内の水分代謝の乱れによる“水の偏り”や“滞り”、自律神経の乱れ、血流の悪化、慢性的な疲労、ストレスなどが、めまいの発生や悪化に深く関係していると捉えます。
めまいに伴って、頭重感、吐き気、動悸、耳鳴り、肩こり、冷え、不眠、不安感といった全身症状がある場合、めまいが単独で起きているのではなく、体全体のバランスが崩れている可能性が高いと考えられます。これらの全身症状を含めて改善を図ることで、めまいの根本的な解決を目指します。
② めまいの漢方治療
富士堂では、まず詳細な問診に加え、舌診、脈診、腹診など漢方独自の診察を通して、めまいの原因を多角的に分析し、全身の状態と症状との関連性を精密に評価します。
その上で、体内の水分バランスの調整、自律神経の安定化、血流の改善、疲労回復などを目的とし、お一人おひとりの体質や病態に合わせた処方を丁寧に設計していきます。
▼主な症状別の処方例 ※あくまでも一例です
■グルグル回るめまいや吐き気を伴い、体が重だるい、むくみやすいタイプ
→ 体内の余分な水分を排出し、水分代謝を整えることでめまいの軽減を図ります。
処方:沢瀉湯、五苓散、苓桂朮甘湯、半夏白朮天麻湯、真武湯など
■フワフワしためまいや立ちくらみが多く、貧血気味で疲れやすいタイプ
→ 消化吸収機能を高め、体に必要な栄養とエネルギーを補うことを目的に以下の処方を検討します。
処方:補中益気湯、十全大補湯、当帰芍薬散、連珠飲、婦宝当帰膠など
■ストレスや不眠が強く、イライラや頭痛を伴うめまいタイプ
→ ストレスや緊張を和らげ、自律神経のバランスを整えることを目的に以下の処方を用います。
処方:釣藤散、半夏厚朴湯、柴胡加竜骨牡蠣湯、加味逍遙散、小柴胡湯など
これらの処方は、単にめまいを一時的に抑えるだけでなく、体の内側からめまいの原因にアプローチし、長期的な体質の改善と生活の質の向上を目指す漢方治療となります。
4. アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎
くしゃみ、鼻水、鼻づまり、顔面痛、頭重感、嗅覚障害…。アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎は、花粉症やハウスダストなどのアレルゲンに対する過敏反応として現れ、さらに慢性化することで副鼻腔にまで炎症が波及し、日常生活に深刻な影響を与える疾患です。
西洋医学では、抗ヒスタミン薬、点鼻薬、抗生物質、ステロイド、手術などが用いられますが、症状の完全な抑制は困難で、薬物依存や副作用への不安を抱える患者様も多く見られます。このような状況において、体質改善を根本とした漢方治療は、アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎の根本的な解決策として大きな可能性を秘めています。
① 漢方医学におけるアレルギー性鼻炎・副鼻腔炎の考え方
漢方医学では、アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎を単なる鼻粘膜の過敏反応や局所の炎症と捉えるのではなく、体全体の防御機能と調整機能の失調が鼻腔・副鼻腔症状として表出したものと理解します。以下の要因が、これらの疾患の発症・悪化・慢性化に深く関与していると考えられます。
■体表の防御力と抵抗力の低下(気虚・表虚・陽虚)
外部からの刺激に対する体表の防御機能や全身の抵抗力が弱くなることで、わずかなアレルゲンにも過敏に反応し、感染を繰り返したり、炎症が長引きやすくなる状態。慢性的な疲労や体力の低下、冷え、免疫機能の不安定さなどが背景にあると考えられます。
■水液代謝の異常(水滞・痰湿)
消化機能の低下などにより体内の水分代謝が滞り、鼻腔や副鼻腔に余分な水分や粘液がたまり、鼻づまり・膿性鼻水などの原因となる状態。
■「気」の巡りの異常(気逆・気滞)
生命エネルギーである「気」が上逆したり停滞することで、鼻粘膜の過敏性が亢進し、副鼻腔の換気機能が低下して、症状が反復・慢性化しやすくなると考えられます。
■「熱」の蓄積(熱証)
体内に過剰な熱がこもり、炎症が出やすくなることで、膿性鼻水や顔面痛、発熱などの急性症状が悪化しやすくなると考えられます。
■ストレスや精神的要因(気鬱)
精神的なストレスや情緒の不安定さが、自律神経系を介してアレルギー反応を増強し、症状の悪化や慢性化を招くと考えられます。
これらの要因は相互に影響し合い、症状の複雑化・慢性化を招きます。また、鼻症状だけでなく、倦怠感、頭重感、皮膚症状、消化不良、睡眠障害などの全身症状を併発することも少なくありません。富士堂の漢方治療では、これらの全身的な不調も含めて総合的に評価し、体全体のバランスを根本から整えることで、アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎の持続的な改善を目指していきます。
② アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎の漢方治療
富士堂漢方薬局では、アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎の治療において、患者様お一人おひとりの症状パターンと体質的背景を詳細に分析いたします。従来の問診に加え、漢方独自の診断技法である舌診、脈診、腹診を組み合わせることで、疾患の根本的な病態メカニズムを多面的に把握し、症状の季節性変化、日内変動、誘発因子との関連性、急性期と慢性期の移行パターンを深く探求します。さらに、生活習慣、食事内容、ストレス状況、過去の治療反応なども総合的に評価し、患者様お一人おひとりの証(症状・体質・病態の統合的特徴)に基づいた個別最適化された漢方処方を提案いたします。
▼主な病態タイプ別の漢方処方例 ※あくまでも一例です
① 透明な鼻水・くしゃみが多く、寒がり・疲れやすいタイプ
→ 体を温めながら水分代謝を整え、鼻粘膜の防御力を高めることで、アレルギー反応の根本的な軽減を図ります。
処方例: 小青竜湯、麻黄附子細辛湯、真武湯など
② 鼻水・痰が粘っこく、鼻づまり・頭重感・顔面痛を伴うタイプ
→ 熱(炎症)を鎮めつつ、体内に滞った余分な粘液を取り除き、副鼻腔の通りを改善します。
処方例: 辛夷清肺湯、荊芥連翹湯、越婢加朮湯など
③ ストレスや季節変動で悪化しやすく、アレルギー体質が背景にあるタイプ
→ 精神的な緊張を和らげながら、体表の防御機能を高めてアレルゲンへの過敏反応を抑えます。
処方例: 柴胡桂枝湯、加味逍遙散、葛根湯加川芎辛夷、防己黄耆湯など
④ 慢性化・反復傾向があり、膿性鼻汁や嗅覚障害、全身の体力低下を伴うタイプ
→ 免疫や代謝バランスを整えて体質を根本から立て直し、慢性副鼻腔炎やアレルギーの長期的な改善を図ります。
処方例: 補中益気湯、十全大補湯、衛益顆粒、荊芥連翹湯、桂枝茯苓丸など
富士堂漢方薬局は、これまでに多くのアレルギー性鼻炎・副鼻腔炎の症例に対応し、西洋医学的治療で十分な効果が得られなかった方や、長期的な薬物依存から脱却したい方、手術を避けたい方に対しても、豊富な臨床実績と深い専門知識をもって、漢方治療を提供してまいりました。「通年性のアレルギーで常に鼻水が止まらない」「風邪を引くたびに副鼻腔炎になってしまう」「薬が手放せない状態から抜け出したい」「手術以外の治療法を探している」という方は、ぜひ一度ご相談ください。富士堂の漢方治療で、アレルギーと炎症に負けない強い体質を築いていきましょう。
5. 後鼻漏
喉の奥に鼻水が垂れてくるような違和感や、不快な痰が常に喉に絡んでいる状態——「後鼻漏」は、単なる鼻や喉の症状にとどまらず、慢性的な咳、声のかすれ、口臭、頭重感、集中力の低下、不快感による睡眠障害など、多様な不定愁訴を引き起こすことがあります。
西洋医学では抗菌薬や抗アレルギー薬、ステロイド点鼻薬などによる治療が行われますが、根本的な改善に至らず、長期的に悩みを抱えている方も少なくありません。
漢方医学では、後鼻漏を「体内の水分代謝異常」や「局所の粘膜機能低下」、さらには「全身の巡りの滞り」など、体質的な要因との関わりから捉え、個々の状態に応じた包括的なアプローチを行います。慢性化した症状や再発を繰り返すケースにも対応できる点が、漢方治療の強みです。
① 漢方医学における後鼻漏の考え方
漢方では、後鼻漏を単なる「鼻水の流れ」ではなく、全身の水分循環や粘膜の状態、自律神経や免疫のバランスの乱れと関連づけて考えます。
例えば以下のような体質傾向が背景にあると、後鼻漏が慢性化しやすいと考えられます。
■粘性のある鼻水・痰が続く(水分の滞留や炎症傾向)
■水様性の鼻水が多く、寒暖差で悪化する(体温調節や自律神経の乱れ)
■胃腸機能の低下や疲労感が強い(栄養の代謝が悪い、調節能力の低下)
■喉の違和感、不安感・不眠などの全身症状が併発している(慢性的な緊張・ストレス)
富士堂漢方薬局では、一人ひとりの体質を細かく分析しながら、根本的な原因にアプローチしていきます。
② 後鼻漏に対する漢方治療
当薬局では、まず丁寧なカウンセリングと、舌・脈・腹部の状態を総合的に評価し、後鼻漏の背景にある全身の不調を把握します。そのうえで、体質に応じて以下のような処方を検討します。
▼主な病態タイプ別の漢方処方例 ※あくまでも一例です
■鼻水や痰が粘っこく、喉に常に絡む・鼻づまりや頭重感を伴うタイプ
→ 鼻腔〜咽頭部の炎症を鎮めながら、滞った水分や粘液を除き、粘膜の正常化を図ります。
処方例:辛夷清肺湯、荊芥連翹湯、葛根湯加川芎辛夷など
■透明な鼻水が喉に流れ込み、寒さや気候の変化で悪化するタイプ
→ 体の冷えや水分代謝の異常を整え、鼻〜咽頭部の過敏な反応を抑えます。
処方例:小青竜湯、苓甘姜味辛夏仁湯、苓桂朮甘湯など
■喉に違和感が続き、胃腸の不調や全身の疲労感を伴うタイプ
→ 胃腸の働きを高めて水分代謝を改善し、痰や鼻水が喉に残らない体質づくりを行います。
処方例:六君子湯、半夏厚朴湯、補中益気湯など
「のどに何かが降りてくる感じがつらい」「慢性的な違和感や咳が何年も続いている」「病院の治療だけではすっきりしない」そう感じている方には、漢方による体質からのアプローチが有効です。
富士堂漢方薬局では、これまでに多数の後鼻漏症例を経験し、個別の体質・症状に応じた治療方針をご提案してきました。症状の緩和はもちろん、再発しにくい体づくりを目指し、根本的な改善をサポートいたします。
4. 実際の症例
**詳しい症状別の記事などについてはページ最下部のリンクからご覧いただけます**
●緑内障
PC仕事が多いTさん。約4年前、眼圧が23㎜Hgに上昇し、点眼薬で20まで下がったものの視野欠損が出始めたそう。さらにその2年後からは多忙ゆえストレスが強く、薬を使っても眼圧は23にリバウンド、視野欠損も進行してしまいました。お仕事のことを考え、持ち運びにも便利な顆粒剤をお出ししたところ、服用から2か月で眼圧は15にまで下がり、4か月後には視野検査で1割が回復しました。改善があったため、薬を減量しながら続けていくことに。そのまま16か月後には眼圧が12にまで下がり、視野も3割回復しました。
●副鼻腔炎・後鼻漏
40代女性、子どもの頃から長年患ってきた副鼻腔炎を、40歳になったのを機に少しでも根本から改善したいとご相談されました。朝起床後、白か黄色の痰が喉に溜まり、口臭もすることが気になっているとのこと。煎じ薬をお出しし、1か月半お飲みいただいたところ、じわじわと症状が軽くなってきていると実感があったそう。6か月目には20年以上悩んでいた副鼻腔炎が完全に治まり、大変喜ばれていらっしゃったのが印象的でした。
●耳鳴り
夜間の拍動性の耳鳴りにお悩みの60代女性。寝汗やほてりもたまに感じ、血圧が高く、逆流性食道炎とも言われたことがおありでした。他の薬局で耳鳴りの薬を3か月間服用したが改善されなかった、とご来店されました。問診により自律神経失調が原因と判断し、自律神経を調整する煎じ薬をお出しし、生活習慣や食事の改善についての養生アドバイスもご提案いたしました。服薬後、耳鳴りが徐々に薄れ、薬を減量しながら継続、9か月後無事に卒業されました。
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>>半年間悩まされた舌痛症が3週間の漢方薬服用で改善|60代女性
3. 富士堂の漢方が選ばれる理由
1. オーダーメイドの漢方治療
「煎じ薬を試したいけど自分で煎じられるの?」
「忙しいから手軽に飲める顆粒剤がいい」
「日常生活でも気を付けることってある?」
ご来店いただく患者様は様々な悩みや不安を抱えています。富士堂の漢方相談では、病状や体質を丁寧に確認し、あなたに合った「証(しょう、=漢方を選ぶ根拠)」を見極めます。
初回相談は約1時間。体調のことだけでなく、経済面や精神的な不安も遠慮なくご相談ください。経験豊富な中医師・薬剤師が、生活アドバイスも含めた総合的なサポートを行います。
2. 豊富な臨床経験
富士堂に在籍するスタッフは中医師から薬剤師まで漢方の専門家でありながら、西洋医学の知識も豊富にもつスペシャリストで、毎年7,000名以上の患者様にご相談いただいています。
毎月の社内勉強会や毎週の症例ディスカッションを通じて、常に知識・技術を磨き、皆様の健康に最適な治療をご提供できるよう努めています。
3. 安全性を重視
皆様が安心・安全に漢方をご利用いただけるように以下のことを特に重視しております。
1.方証医学に基づいた、根拠のある漢方相談を徹底
時間を惜しまずに漢方相談を行い、服用後のフォローにも努め、副作用の予防や、効果の確認などに努めます。
2.信頼できるメーカーからのみの仕入れ
使用する生薬はすべて国内の大手漢方メーカー(ウチダ和漢薬・栃本天海堂・高砂薬業・イスクラ産業・クラシエ薬品)から仕入れています。海外からの直輸入は行いません。
3.厳格な品質管理
生薬はすべて原植物の確認、理化学試験、重金属・ヒ素・残留イオウの管理・経験的鑑別、残留農薬管理、微生物検査をクリアした安全なものです。
4. オンライン相談・宅配対応
富士堂では、LINE・WeChat・Teamsなどのビデオ通話ツールによるオンライン相談も可能です。漢方薬は店頭受け取りのほか、ご自宅への発送も承っています。忙しい方や遠方・海外にお住まいの方でも、安心してご利用いただけます。
オンライン相談について詳しくはこちら
4. ご相談・カウンセリングの流れ
漢方薬を受け取るまでの流れは以下のようになります。
ご予約➤ご相談➤漢方薬の選定➤ご確認・お会計➤調剤・お渡し(発送)
詳しくはこちらをご覧くださいませ。
漢方薬は、一人ひとりの体質や体調、生活環境、そしてその方をとりまく背景によって、必要な処方が大きく異なります。そのため富士堂漢方薬局では、最初に丁寧なカウンセリングを行い、現在のお困りの症状だけでなく、これまでの経過や生活習慣、ストレス要因なども含めて総合的に把握することを大切にしています。
ご相談は予約優先制で、個室にてプライバシーに配慮した落ち着いた環境の中、ゆっくりとお話を伺います。初回のカウンセリングでは、漢方医学に基づく「四診(望診・聞診・問診・切診)」をもとに、舌の状態、脈、腹部の緊張や冷えの有無なども丁寧に確認します。
また、西洋医学的な視点も大切にしており、血液検査や画像検査の結果がある場合には、それらも参考にしながら総合的に判断します。まずはお気軽にご相談ください。
■漢方相談予約・お問合せ>>「お問い合わせ(LINE,WeChat,メールフォーム)」
■オンライン相談について詳しくはこちら>>「オンライン漢方相談|来店なしでお薬お届け」
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7. 耳・鼻・のど・目・口のお悩みをお持ちの方へ ─ 富士堂からのメッセージ
繰り返す鼻づまりや後鼻漏、喉の違和感、耳鳴り、めまい、目のかすみや充血、口内炎や味覚異常など──。こうした症状は一見軽く見られがちですが、実際には日々の生活や気分に大きな影響を与えるものです。
病院に通っても「異常なし」と言われたり、治療を続けているのになかなか改善を実感できなかったりする方も少なくありません。
富士堂では、これらの耳鼻咽喉・眼疾・口腔にあらわれる症状を、全身のバランスの乱れや体質的な傾向の表れとして捉えています。そして、一人ひとりにぴったり合った処方との出会いが、明確な変化につながることも珍しくありません。
特に富士堂漢方薬局では、難治性や慢性化した症状に関するご相談を多くいただいてきました。カウンセリングでは、現在の症状だけでなく、その背景にある生活習慣や体調の変化、さらには感情の動きにまで丁寧に耳を傾け、一人ひとりに最適な処方をご提案しています。
「何をしても良くならなかった」「もうこの症状と一生付き合うしかない」と感じている方にこそ、あきらめずに漢方という選択肢を思い出していただきたいと、私たちは願っています。
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