2025.02.21>子宮頸部異形成
子宮頸部円錐切除術後の再発が3ヶ月の漢方治療で陰性化した症例

子宮頸部円錐切除後の再発を克服した症例 – 漢方治療による改善
子宮頸部円錐切除術は子宮頸部高度異形成に対して一般的に行われます。しかし、術後の再発率については、切除断端が陽性の場合9~16%、陰性の場合でも2~4%と報告されています(参照:日本癌治療学会「子宮頸がん診療ガイドライン」)。本記事では、切除断端が陰性でありながら再発(ASC-US)が懸念された患者様が漢方治療を受けた結果、わずか3ヶ月で再び陰性化した症例を詳しく解説します。
子宮頸部高度異形成(CIN3)とは
子宮頸部高度異形成は、子宮頸部の細胞に異常が生じ、正常な細胞からがん細胞へと進行する前段階の状態を指します。CIN(Cervical Intraepithelial Neoplasia)は3段階に分類され、CIN3はその中で最も進行した状態で、治療が必要とされます。この状態を放置すると、数年以内に子宮頸がんに進行する可能性が高いとされています。
高度異形成の原因は、主にヒトパピローマウイルス(HPV)の高リスク型による感染です。特にHPV16型や18型ががん化のリスクが高いことが知られています。また、HPV感染そのものは一般的であり、多くの人が一時的に感染しますが、免疫機能の低下や慢性的な感染状態が異形成やがん化のリスクを高めるとされています。
子宮頸部円錐切除術とは
子宮頸部円錐切除術(子宮頸部コルポトミー)は、子宮頸部の異形成部分を切除する外科的治療法です。この手術では、子宮頸部の異常な部分を円錐状に切り取るため「円錐切除術」と呼ばれます。
この治療法は、以下の目的で行われます:
- 診断的目的:切除した組織を病理検査で確認し、がん化の有無や進行度を評価する。
- 治療的目的:異常な細胞が含まれる組織を完全に取り除き、正常細胞への進行を防ぐ。
術後の病理検査において、切除部位の「断端」が陰性であれば、異形成細胞が完全に取り除かれたと判断されます。一方、断端が陽性の場合、異常な細胞が残存している可能性があるため、追加治療や経過観察が必要です。
術後の経過観察の重要性
円錐切除術後も再発リスクが完全になくなるわけではありません。術後の再発率は、切除断端陽性で9~16%、陰性で2~4%と報告されています。再発の多くはHPV感染が残存している場合や、新たな感染によるものと考えられます。そのため、術後の定期的な細胞診やHPV検査による経過観察が欠かせません。
漢方治療と円錐切除術の補完的役割
近年、円錐切除術後の再発予防や早期改善を目的に、漢方治療を併用する例が増えています。漢方治療では、血流改善や免疫機能の向上を目指し、HPV感染細胞の自然排除を促進する効果が期待されます。特に、術後間もない段階で漢方を取り入れることで、細胞の回復を早め、再発のリスク低減につながる可能性があります。
症例
患者情報
年齢・性別:20代女性
身長・体重:155cm、50kg
HPVワクチン接種歴:なし
X-1年6月:健康診断にて細胞診でASC-H(異型扁平上皮細胞疑陽性)が指摘される。
X-1年7月:精密検査の結果、組織診でCIN3(高度異形成)と診断され、円錐切除術を決定。
X-1年8月:子宮頸部円錐切除術を実施。病理検査で切除断端は陰性。
X-1年12月:術後の検査でASC-US(意義不明な異型扁平上皮細胞)と診断され経過観察。
経過
時期:X年1月(術後5か月)
主訴:経過観察のみでは再発が心配になり、漢方治療を開始。
一般状況:
・生理は順調で、生理痛も軽いが、経血に塊が多い(瘀血証)。
・円錐切除術後から排卵期出血(瘀血証)が始まり、3か月連続で2~3日間出血が続く。
・術後にいぼ痔(瘀血証)が発症。
漢方治療方針
漢方医学的に「瘀血(おけつ)」の症状と診断し、血流を改善する漢方薬をお出しすることに。
治療の経過と結果
X年3月:漢方服用後、排卵期出血が消失し、いぼ痔も軽快。術後2回目の細胞診でNILM(異常なし)と診断され、経過は安定している。
考察
切除断端が陰性であっても再発が起こる原因の一つとして、手術で異形細胞を取り除いた後も、HPVがまだ異形化していない正常細胞に潜伏している可能性が考えられます。この場合、時間が経つにつれて正常細胞が異形細胞へと変化し、再発に至ることがあります。
漢方による血流改善は、患部への免疫細胞の流入を増加させ、HPV感染の拡大を抑制します。また、上皮組織のターンオーバーを促進することで、異形細胞の自然な脱落を促す効果が期待されます。今回は再発の初期段階(ASC-US)で漢方治療を開始したため、わずか3か月で陰性化という成果を得ることができました。
まとめ
子宮頸部円錐切除術後の再発リスクは、たとえ切除断端が陰性であっても完全にゼロではありません。本症例では、術後の経過観察中に再発が懸念されましたが、漢方治療による血流改善と免疫機能の向上により、わずか3ヶ月で陰性化 という良好な結果を得ることができました。
この結果は、術後の回復促進や再発予防において、漢方治療が補完的な役割を果たす可能性を示唆しています。今後も、円錐切除術後の再発リスクを軽減する選択肢の一つとして、漢方の活用が期待されます。
担当の先生・記事監修
入多 裕 薬剤師 国際中医専門員
経歴
1997年 徳島文理大学薬学部卒業
1999年 同大学院薬学研究科修士課程修了(苔類の成分研究)
1999年~2003年 九州、関西の調剤薬局で調剤業務に従事
2003年 上海中医薬大学中医学専門留学勉強
2007年 横浜市内の漢方兼調剤薬局で漢方、調剤業務に従事
2009年 国際中医師(現 国際中医専門員)取得
2017年 富士堂漢方薬局
資格
薬剤師
国際中医専門員
産業カウンセラー
関連項目
>>ハイリスク型HPV感染が漢方治療で完治した2例|お客様の声
>>子宮頸部異形成を漢方治療でLSILから完治へ|口コミ&症例解説
>>40歳 子宮円錐手術後、2ヶ月の漢方で高リスクHPVを除去|漢方体験談
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