2024.12.27商品・サービス
板藍根の効能と活用法 – 健康維持に役立つ生薬の力
空気が冷たく乾燥する季節になると、風邪やインフルエンザの流行が気になります。そんなとき、自然の力を借りて健康を守る手段として「板藍根(バンランコン)」が注目されています。この生薬は、東洋医学においては古くから清熱解毒や免疫力向上の効果があるとされ、現代でも多くの論文が発表されその効能が科学的に裏付けられています。
この記事では、バンランコンの歴史や効能、日常生活への取り入れ方をご紹介します。また、当社が提供する漢方茶をはじめ、実用的な商品もご案内します。健康管理の新しい一歩として、バンランコンをぜひ知ってみてください。
板藍根とは?その歴史と背景
板藍根は、中国や東アジアで古くから愛用されてきた生薬です。バンランコンは、アブラナ科のホソバタイセイ(松藍)やタイセイ(草大青)、キツネノマゴ科のリュウキュウアイ(馬藍)の根を乾燥させたものとして利用されます。これらの植物は藍染の原料としても知られ、その染料を扱う藍染職人が健康であることから薬効が注目されるようになり、やがて生薬としての利用が広まりました。
藍染は、虫よけや傷の治療にも効果があるとされており、藍染職人の健康を支える秘訣として「藍職人は病気知らず」という言葉が残っています。また、藍染で使用される精製色素“青黛”(せいたい)は、バンランコンと似た清熱解毒作用を持つ生薬としても有名です。
薬としての板藍根は、2003年に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)の際にその名が広く世間に知られるようになりました。中国政府は、SARS対策として板藍根の使用を推奨し、当時この生薬が市場から姿を消すほど需要が高まりました。現在でもバンランコンは、風邪やインフルエンザの予防に役立つ健康食品として日本でも市販されています。
さらに、その歴史を遡ると、『神農本草経』や『名医別録』といった中国の古代医薬書にも板藍根の記載があります。これらの書物では、藍染の材料として使われる植物の一部が清熱解毒の薬として紹介されており、特にアブラナ科のホソバタイセイやタイセイが薬用として利用されてきた歴史があります。
ホソバタイセイは、茎が直立し高さ70〜100cmに達する植物で、春にはアブラナに似た黄色い花を咲かせます。地下部の根が薬用にされ、感染症や熱性疾患に用いられてきました。これらの植物は、地域によって異なる品種が使われることもあり、中国北部ではホソバタイセイ、南部ではキツネノマゴ科のリュウキュウアイが使用されています。
中国の家庭では風邪や喉の不調を感じた際に板藍根を煎じて飲む習慣があり、感染症の予防としても広く活用されており、特に冬場や乾燥期には家庭の常備薬として親しまれています。
板藍根の効能 – 東洋医学と現代医学の視点
板藍根は東洋医学では「清熱解毒」「涼血利咽」の効能を持つとされ、多くの症状に対して効果が期待されています。その効能について、東洋医学的な解釈と現代医学の視点から詳しく見ていきましょう。
東洋医学的効能
- ❶清熱解毒(熱を冷まし毒を排出する)
・熱による炎症や毒素の蓄積を取り除き、体のバランスを整えます。
・風邪やインフルエンザなどの発熱性疾患に用いられることが多いです。 - ❷涼血利咽(血液を冷やし喉の腫れを和らげる)
・喉の痛みや炎症を抑え、声枯れや腫れに効果を発揮します。
現代医学的効能
- ❶抗ウイルス作用
・板藍根の成分には、インフルエンザやノロウイルスを含む多くのウイルスの増殖を抑制する作用があります。 - ❷抗菌作用
・細菌感染症の予防および治療に効果を発揮し、扁桃炎や口内炎などに活用されます。 - ❸免疫力の向上
・免疫系をサポートし、感染症に対する体の抵抗力を強化します。 - ❹解熱・消炎作用
・発熱や炎症を和らげるため、風邪や流行性感冒の治療に適しています。
先述の通り、特に中国では2003年にSARSが流行した際、板藍根が政府によって推奨され、感染症予防策としてその効果が注目され、近年ではコロナ(COVID-19)や季節性インフルエンザの対策として広く使われています。
板藍根を日常に取り入れる方法
板藍根は、さまざまな形で日常生活に取り入れることができます。ここでは最も簡単な「漢方茶として取り入れる方法」と「のど飴として取り入れる方法」をご紹介いたします。
❶漢方茶として
煎じてお茶として飲む方法は、最も一般的な摂取法の一つで、昔から板藍根茶として親しまれてきました。喉を潤し、体を温めながら免疫力をサポートします。富士堂が提供するオリジナルの漢方茶には板藍根を中心に、身体を整えるための生薬が配合されているものがございます。特に秋冬にかけての寒冷期や乾燥期においての風邪・感染症予防として健康維持に効果的です。また、漢方というと苦そうなイメージがありますがどなたでも飲みやすいよう苦みもなくさわやかな口当たりにしたのが富士堂の漢方茶です。オンラインショップからも購入できるのでぜひチェックしてみてください。
➤富士堂オリジナルの漢方茶【インフルよけ】1パック6包入り税込み1,728円
![インフルよけ板藍根茶](https://kampo-fujidou.com/wp-content/uploads/2016/02/1106142115_5fa4dd4bef896-300x276.jpg)
中に入っている生薬とそれぞれの効能はこちら
◎板藍根(バンランコン)
…健胃作用・去痰作用。胃腸の働きを整え、食欲不振や消化不良を改善します。また、痰を切る効果があり、咳や喉の不調にも役立ちます。
◎陳皮(チンピ)
…健胃作用・去痰作用。胃腸の働きを整え、食欲不振や消化不良を改善します。また、痰を切る効果があり、咳や喉の不調にも役立ちます。
◎棗(ナツメ)
…滋養強壮・補気補血。エネルギーや血液を補い、疲労回復や免疫力向上に効果的です。体を温め、ストレス軽減にも寄与します。
◎菊花(キクカ)
…解熱・解毒・明目。目の疲れや炎症を和らげる作用があり、特に頭痛や目の充血に効果があります。リラックス効果も期待できます。
◎茴香(ウイキョウ)
…消化促進・鎮痛作用。胃腸の働きを助け、腹部の痛みや冷え性に効果があります。また、体を温める作用があり、女性の健康維持にも役立ちます。
◎薄荷(ハッカ)
…清涼感を与え、喉や鼻の通りを良くする作用があります。また、鎮静作用もあり、頭痛やストレス緩和に役立ちます。
◎甘草(カンゾウ)
…緩和作用・去痰作用。体内の毒素を中和し、炎症を抑える効果があります。喉の痛みや咳、胃痛の軽減に用いられることが多いです。
作り方
ヤカンまたは鍋に1000mlの水とインフルよけ1パック(1日分)を入れ、強火で沸騰させた後、弱火で20分程度煮出してください。
飲み方
でき上がったお茶を保温ポットなどに入れ一日分として、温かいお茶をゆったりした気持ちでお楽しみください。うがい液としても使えます。
保存方法
お茶パックは直射日光や湿気を避け、涼しい場所に保管してください。飲み残したお茶は冷蔵庫に入れ、お早めにお飲みください。
❷のど飴として
板藍根入りのど飴は、喉の乾燥や不快感を感じたときに便利なアイテムです。持ち運びが簡単で、外出先でも喉のケアを手軽に行えます。
富士堂で取り扱っているのは日本の大手生薬メーカー「イスクラ産業」の板藍のど飴です。板藍根エキス末が配合されており、レモン果汁やレモングラスも入ってほんのりとした甘みがあるため普通ののど飴としてお楽しみいただけます。喉の痛み、乾燥感のある方はもちろんのこと、特に症状はなくても常備していると便利です。※こちらは店舗販売のみになります。
板藍根の注意点と安全な利用方法
板藍根は副作用があまり見られず安全性が高い生薬ですが、以下の点に注意して利用しましょう。
- 妊娠中・授乳中の方: 子宮収縮作用があるため、妊婦の方は摂取を避けたほうが良いです。
- 胃腸が弱い方: 板藍根そのものには身体を冷やす性質があるため、冷え性の方や胃腸が弱い方は適量を守ることや身体を温めるものと一緒に摂取することが望ましいです。
- アレルギー体質の方: 万が一異常が見られた場合は摂取を中止し、医師や薬剤師に相談してください。
板藍根を活用して健康的な生活を
板藍根は、風邪やインフルエンザの予防、喉のケアに役立つ生薬です。漢方茶やのど飴など、ライフスタイルに合った形で取り入れることで、日々の健康維持をサポートします。ぜひこの機会に板藍根を取り入れ、健康的な毎日をお過ごしください。
監修
許 志泉 所長 医学博士
【経歴】
1987年 南京中医薬大学中医学部 卒
1987年~ 南京中医薬大学 内科医師 助手、講師、南京中医薬大学学報編集など歴任 1996年医学修士号取得。臨床や研究に携わる
1998年 順天堂大学医学部・膠原病リウマチ内科学 入局
2003年 順天堂大学 医学博士取得
2004年~ 富士堂漢方医学研究所(元・富士堂東洋医学研究所) 所長
【所属学会】
日本東洋医学会、日本リウマチ学会、日本臨床免疫学会、東亜医学協会
【研究業績/著作】※一部抜粋
1. 著作:許志泉,漢方求真 体質・症候・病から探究する薬方の証,東京,桐書房,2018年10月
2. 著作:黄 煌、範欣生、施 誠、傅 雷、許志泉,張秀春、周建英、徐 力,方薬心悟――名中医処方用薬技巧(訳:方剤、漢方薬における心得――有名中医師による漢方の使用の技),南京,江蘇科学技術出版社,1999年
3. 著作:項平、許志泉,常見病毒病的中医診治(よく見られるウイルス感染病における中医学の診断と治療),北京,人民衛生出版社,1998年6月
関連項目
>>【管理栄養士監修】薬膳で風邪などの感染症に負けない体作り
>>【解説】新型コロナウイルス・COVID-19の予防、病態、漢方薬、治療、清肺解毒湯について
>>入浴で疲れを癒やしてリラックス|漢方薬局の入浴パック
>>漢方医学からみる冬の健康
■漢方相談予約・お問合せ>>「お問い合わせ(LINE,WeChat,Skype,メールフォーム)」
■オンライン相談について詳しくはこちら>>「オンライン漢方相談|来店なしでお薬お届け」
Category
Archive
- 2025年2月
- 2025年1月
- 2024年12月
- 2024年11月
- 2024年10月
- 2024年9月
- 2024年8月
- 2024年7月
- 2024年6月
- 2024年5月
- 2024年4月
- 2024年3月
- 2024年2月
- 2024年1月
- 2023年12月
- 2023年11月
- 2023年10月
- 2023年9月
- 2023年8月
- 2023年7月
- 2023年6月
- 2023年5月
- 2023年4月
- 2023年3月
- 2023年2月
- 2023年1月
- 2022年12月
- 2022年11月
- 2022年10月
- 2022年9月
- 2022年8月
- 2022年7月
- 2022年6月
- 2022年5月
- 2022年4月
- 2022年3月
- 2022年2月
- 2022年1月
- 2021年12月
- 2021年11月
- 2021年10月
- 2021年9月
- 2021年8月
- 2021年7月
- 2021年6月
- 2021年5月
- 2021年4月
- 2021年3月
- 2021年2月
- 2020年11月
- 2020年10月
- 2020年9月
- 2020年8月
- 2020年7月
- 2020年6月
- 2020年5月
- 2020年4月
- 2020年3月
- 2020年2月
- 2020年1月
- 2019年12月
- 2019年11月
- 2019年10月
- 2019年9月
- 2019年8月
- 2019年7月
- 2019年6月
- 2019年5月
- 2019年4月
- 2019年3月
- 2019年2月
- 2019年1月
- 2018年12月
- 2018年11月
- 2018年10月
- 2018年9月
- 2018年8月
- 2018年7月
- 2018年6月
- 2018年5月
- 2018年3月
- 2018年2月
- 2018年1月
- 2017年11月
- 2017年6月
- 2017年5月
- 2017年4月
- 2017年3月
- 2017年2月
- 2017年1月
- 2016年10月
- 2016年6月
- 2016年4月
- 2016年3月
- 2016年2月
- 2016年1月
- 2015年12月
- 2015年11月
- 2015年10月
- 2015年6月
- 2015年3月
- 2014年7月
- 2014年3月
- 2013年12月
- 2013年8月
- 2012年12月
- 2012年10月