2021.03.22>産前・産後ケア
産後・流産後の不調にオススメの漢方(産後脱毛・産後うつなど)
---産後脱毛が増えてショックです。。腰痛がつらいです、便秘も続いています。。
---すぐにイライラしてしまって気持ちのコントロールがうまくできなくて。。
富士堂漢方薬局では、産後・流産後の不調にお悩みでご来店される方が多くいらっしゃいます。
出産後の6~8週間を産褥期(サンジョクキ)と言います。分娩時の出血と痛みによる母体の疲労や体力低下が見られ、漢方ではこの時期は気・血を消耗して、気虚や血虚になりやすい状態と考えます。ホルモンバランスの崩れ、育児による疲れ、睡眠不足、不安などが重なり、産後鬱にもなりやすいです。
また、一時的に良くなったと思っても出産後の腹痛や腰痛が2、3年経って時々現れ、慢性化するケースもあります。産後ケアを大切に、無理せず少しずつ元の生活に戻していくようにしましょう 。ここではおすすめの漢方薬を紹介します。
出産後には、気虚・血虚・瘀血の状態が続いています。出産時大量の体力を消耗することで気虚になり、また出血が原因で血虚と気虚に。さらには悪露や胎盤など組織の残留で瘀血も同時にみられます。
◇よく使われる漢方薬◇
「芎帰調血飲・きゅうきちょうけついん」
効能又は効果:産後の神経症・体力低下、月経不順
瘀血の症状がそれほど強くない方に使います。
血虚に当帰・地黄、気虚に白朮・陳皮、瘀血に牡丹皮・益母草の生薬が効果的です。
貧血を補い、悪露瘀血を去り、脾胃の調子を整えるため、産後の諸症によく応用されます。
「芎帰調血飲第一加減・きゅうきちょうけついんだいいちかげん」
効能又は効果:血の道症、産後の体力低下、月経不順
気虚・血虚・瘀血三者を一気に解消する漢方です。
上記の「芎帰調血飲」の瘀血解消の力を強化する生薬、牛膝・桃仁・紅花が加わります。
産後のからだを整え、産後の神経症、血の道症、乳汁不足、月経不順、手足のしびれ、ヒステリー、産後の腰痛、頭痛、食欲不振、産褥下肢血栓症などの改善が期待できます。
漢方では毛髪を「毛は血の余り」と言い、血が不足した状態(血虚)になると、毛も弱くなり、脱毛や白髪が出やすくなると考えます。更に、育児ストレスで末梢血流が悪くし、毛の栄養状態が悪く、抜けやすくなります。
◇産後脱毛によく使われる漢方薬◇
「十全大補湯」
効能又は効果:病後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、ねあせ、手足の冷え、貧血
人参・白朮・茯苓・甘草は気を補い、脾胃消化器系の働きをよくします。当帰・川芎・芍薬・地黄は気血の巡りをよくし、乾燥した皮膚を潤し、毛嚢機能改善します。桂枝・黄耆はそれらの作用を補強し、脱毛を治療します。
「人参養栄湯」
効能又は効果:病後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、ねあせ、手足の冷え、貧血
基本的には「十全大補湯」と同じですが、睡眠障害や食欲低下の方によく用います。
産後の瘀血証により、気血を巡らせるための道が塞がり、気滞の状態になります。さらに気虚状態で、自ら滞っている道を修復する力が弱く、産後鬱になりやすいです。
◇産後鬱によく使われる漢方薬◇
「抑肝散」
効能又は効果:虚弱な体質で神経がたかぶるものの次の諸症:神経症、不眠症、小児夜泣き、小児疳症
釣藤鈎・柴胡・甘草が一緒になって肝気の緊張を緩解し、神経の興奮を鎮めます。当帰は肝血を潤し、肝の血行を良くし、血虚を治します。川芎は肝血をよく疎通させます。
「加味逍遥散」
効能又は効果:体質虚弱な婦人で、肩がこり、疲れやすく、精神不安などの精神神経症状、ときに便秘の傾向のある次の諸症:冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症
「抑肝散」よりイライラし、怒りやすい方に使用します。
「加味帰脾湯」
効能又は効果:虚弱体質で血色の悪い人の次の諸症:貧血、不眠症、精神不安、神経症
不眠・疲れを強く感じる方に使用します。
※産後鬱の根本的な原因は瘀血であることで、上記の処方と産後ケア基本の「芎帰調血飲第一加減」と一緒に使うとより改善効果が得られます。
流産は昔から「小産」と言うように、小さい出産の意味です。
流産後の不調は基本的には産後と同じです。
ただし気虚・血虚・瘀血の症状はいずれも軽いので、治療期間は産後と比較すれば短く、約1~2か月ほどで回復が見込めます。
富士堂漢方薬局では、産後・流産後の不調に対しておからだに合う漢方薬をお選びします。お悩みの方はぜひご相談ください。
通院のお時間がとれない方、体調不良で通院困難な方などにはオンライン相談もおすすめしております。
富士堂漢方薬局 中国医師・漢方不妊アドバイザー 張冬
>>婦人科・不妊症の漢方担当:張冬(チョウ・トウ)先生ご紹介・症例記事等はこちら
>>不妊症から卒業の道(不妊症症例・卒業したママ達の体験談)
関連ブログ
>>産後うつに「血」を養う漢方


---すぐにイライラしてしまって気持ちのコントロールがうまくできなくて。。
富士堂漢方薬局では、産後・流産後の不調にお悩みでご来店される方が多くいらっしゃいます。
出産後の6~8週間を産褥期(サンジョクキ)と言います。分娩時の出血と痛みによる母体の疲労や体力低下が見られ、漢方ではこの時期は気・血を消耗して、気虚や血虚になりやすい状態と考えます。ホルモンバランスの崩れ、育児による疲れ、睡眠不足、不安などが重なり、産後鬱にもなりやすいです。
また、一時的に良くなったと思っても出産後の腹痛や腰痛が2、3年経って時々現れ、慢性化するケースもあります。産後ケアを大切に、無理せず少しずつ元の生活に戻していくようにしましょう 。ここではおすすめの漢方薬を紹介します。
産後ケアの基本|きゅう帰調血飲、芎帰調血飲第一加減
出産後には、気虚・血虚・瘀血の状態が続いています。出産時大量の体力を消耗することで気虚になり、また出血が原因で血虚と気虚に。さらには悪露や胎盤など組織の残留で瘀血も同時にみられます。
◇よく使われる漢方薬◇
「芎帰調血飲・きゅうきちょうけついん」
効能又は効果:産後の神経症・体力低下、月経不順
瘀血の症状がそれほど強くない方に使います。
血虚に当帰・地黄、気虚に白朮・陳皮、瘀血に牡丹皮・益母草の生薬が効果的です。
貧血を補い、悪露瘀血を去り、脾胃の調子を整えるため、産後の諸症によく応用されます。
「芎帰調血飲第一加減・きゅうきちょうけついんだいいちかげん」
効能又は効果:血の道症、産後の体力低下、月経不順
気虚・血虚・瘀血三者を一気に解消する漢方です。
上記の「芎帰調血飲」の瘀血解消の力を強化する生薬、牛膝・桃仁・紅花が加わります。
産後のからだを整え、産後の神経症、血の道症、乳汁不足、月経不順、手足のしびれ、ヒステリー、産後の腰痛、頭痛、食欲不振、産褥下肢血栓症などの改善が期待できます。
産後脱毛|十全大補湯、人参養栄湯
漢方では毛髪を「毛は血の余り」と言い、血が不足した状態(血虚)になると、毛も弱くなり、脱毛や白髪が出やすくなると考えます。更に、育児ストレスで末梢血流が悪くし、毛の栄養状態が悪く、抜けやすくなります。
◇産後脱毛によく使われる漢方薬◇
「十全大補湯」
効能又は効果:病後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、ねあせ、手足の冷え、貧血
人参・白朮・茯苓・甘草は気を補い、脾胃消化器系の働きをよくします。当帰・川芎・芍薬・地黄は気血の巡りをよくし、乾燥した皮膚を潤し、毛嚢機能改善します。桂枝・黄耆はそれらの作用を補強し、脱毛を治療します。
「人参養栄湯」
効能又は効果:病後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、ねあせ、手足の冷え、貧血
基本的には「十全大補湯」と同じですが、睡眠障害や食欲低下の方によく用います。
産後鬱|抑肝散、加味逍遥散、加味帰脾湯
産後の瘀血証により、気血を巡らせるための道が塞がり、気滞の状態になります。さらに気虚状態で、自ら滞っている道を修復する力が弱く、産後鬱になりやすいです。
◇産後鬱によく使われる漢方薬◇
「抑肝散」
効能又は効果:虚弱な体質で神経がたかぶるものの次の諸症:神経症、不眠症、小児夜泣き、小児疳症
釣藤鈎・柴胡・甘草が一緒になって肝気の緊張を緩解し、神経の興奮を鎮めます。当帰は肝血を潤し、肝の血行を良くし、血虚を治します。川芎は肝血をよく疎通させます。
「加味逍遥散」
効能又は効果:体質虚弱な婦人で、肩がこり、疲れやすく、精神不安などの精神神経症状、ときに便秘の傾向のある次の諸症:冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症
「抑肝散」よりイライラし、怒りやすい方に使用します。
「加味帰脾湯」
効能又は効果:虚弱体質で血色の悪い人の次の諸症:貧血、不眠症、精神不安、神経症
不眠・疲れを強く感じる方に使用します。
※産後鬱の根本的な原因は瘀血であることで、上記の処方と産後ケア基本の「芎帰調血飲第一加減」と一緒に使うとより改善効果が得られます。
流産後の不調
流産は昔から「小産」と言うように、小さい出産の意味です。
流産後の不調は基本的には産後と同じです。
ただし気虚・血虚・瘀血の症状はいずれも軽いので、治療期間は産後と比較すれば短く、約1~2か月ほどで回復が見込めます。
富士堂漢方薬局では、産後・流産後の不調に対しておからだに合う漢方薬をお選びします。お悩みの方はぜひご相談ください。
通院のお時間がとれない方、体調不良で通院困難な方などにはオンライン相談もおすすめしております。
富士堂漢方薬局 中国医師・漢方不妊アドバイザー 張冬
>>婦人科・不妊症の漢方担当:張冬(チョウ・トウ)先生ご紹介・症例記事等はこちら
>>不妊症から卒業の道(不妊症症例・卒業したママ達の体験談)
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>>【産後ケア】漢方はママの味方です!産後の脱毛白髪・不眠・うつにも漢方薬
>>産後うつに「血」を養う漢方


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