2021.02.20>産前・産後ケア
妊婦・妊活中の抗アレルギー剤と花粉症の漢方薬【小青竜湯も要注意】
「妊娠していても安心して服用できる花粉症に効く漢方薬はありますか?」
「抗アレルギー剤を毎年服用してきましたが胎児に悪影響はあるのでしょうか?」
花粉症の季節になると、妊活中・妊娠中の患者様から抗アレルギー剤の西洋薬や漢方薬について多くの質問が寄せられます。
花粉症やアレルギー性鼻炎には薬物治療が基本となります。ただ、催奇形性といい、妊娠中の女性が薬物を服用したときに胎児に奇形が起こる危険性もあるため注意が必要です。
ここでは、妊娠中や妊活中に薬が及ぼす影響や、抗アレルギー剤の選び方を解説していきます。
妊娠3 週目或いは受精卵移植日まで:まだ着床していないため、薬の影響はほとんどありません。
妊娠 7~10週目:胎児の中枢神経、心臓、消化器、手足などの重要臓器が発生分化する時期。胎児が最も敏感な時期なので、薬の使用は極力避けるのが望ましいです。
妊娠11~19週目:胎児の重要な器官の形成は終わりましたが、性器分化や口蓋閉鎖などは続いています。薬に対する胎児の感受性は下がりますが、催奇形性のある薬剤の服用にはまだ注意が必要です。
妊娠20週目~:薬によって奇形になるような形態的異常は起きないとされていますが、この時期になると胎児毒性についての注意が必要になります。胎盤を通過し、胎児に移行しやすい薬剤のうち、胎児の機能的発育に影響を与える薬剤は避けなければなりません。妊娠20週目以降から分娩までは、鼻症状が日常生活に影響する場合、安全性の高い薬剤を使用するのが好ましいでしょう。
安全性の高い薬剤の選択においては、米国食品医薬品局(FDA)による薬剤胎児危険度分類基準(pregnancy category)と照合します(表 1)。
A,B,C,D,X の 5 段階で分類されていますが、添付文書に「妊婦あるいは妊娠の可能性がある女性に対しては投与禁忌」と明記されている薬剤(オキサトミド、トラニラスト、ぺミロラストカリウム)については、妊娠中・妊活中の服用は避けましょう。
分類については表2にあるように、ランクCの内服薬は避けることが望ましいです。よく知られているOTC薬「アレグラ錠」と「アレジオン錠」は要注意です。
同じ成分の点眼薬は局部の使用なので、妊娠への影響は少ないと考えられます。
一番リスクの低いランクAの薬は無いため、ランクBのアレルギンやザイザルを選ぶのが良いでしょう。
花粉症によく使われる小青竜湯も、実は生薬の麻黄が配合されており、注意が必要です。麻黄には血管収縮作用があり、胎児への血流が悪くなる可能性があります。
そして、花粉症・鼻炎・蕁麻疹によく用いられる麻黄を含む漢方製剤には、麻黄湯・小青竜湯・葛根湯・葛根湯加川芎辛夷・越婢加朮湯・麻黄附子細辛湯・五虎湯・麻杏甘石湯・神秘湯など多数ありますので、服用する前はぜひ一度、漢方の専門家に確認することをお勧めいたします。
麻黄を含む製剤ほど抗アレルギー効果が強いわけではありませんが、柴胡桂枝湯・柴苓湯・参蘇飲・香蘇散・苓甘姜味辛夏仁湯・防己黄耆湯なども昔から使用されており、妊婦への安全性も長期にわたる知見があります。富士堂ではそれらも考慮した上で体質などを判断し提案いたします。
薬効が同じであっても、西洋薬より歴史的に使用経験の長い漢方薬の方が情報量は多く、薬を選択する際の助けになります。
また、西洋薬の抗アレルギー剤を使用しても、十分な効果が得られない場合は漢方薬と併用することで相乗効果が期待できます。
抗アレルギー剤以外でも、妊娠中や妊活中に関するご不安なことやご不明な点がありましたら、ぜひ富士堂漢方薬局までご相談ください。
■オンライン相談について詳しくはこちら>>「オンライン漢方相談|来店なしでお薬お届け」
<関連記事>
>>花粉症の症状と対策・漢方薬
>>症例報告~猫アレルギーに五虎湯と防已黄耆湯~
「抗アレルギー剤を毎年服用してきましたが胎児に悪影響はあるのでしょうか?」
花粉症の季節になると、妊活中・妊娠中の患者様から抗アレルギー剤の西洋薬や漢方薬について多くの質問が寄せられます。
花粉症やアレルギー性鼻炎には薬物治療が基本となります。ただ、催奇形性といい、妊娠中の女性が薬物を服用したときに胎児に奇形が起こる危険性もあるため注意が必要です。
ここでは、妊娠中や妊活中に薬が及ぼす影響や、抗アレルギー剤の選び方を解説していきます。
妊娠週別にみる薬の影響
妊娠3 週目或いは受精卵移植日まで:まだ着床していないため、薬の影響はほとんどありません。
妊娠 7~10週目:胎児の中枢神経、心臓、消化器、手足などの重要臓器が発生分化する時期。胎児が最も敏感な時期なので、薬の使用は極力避けるのが望ましいです。
妊娠11~19週目:胎児の重要な器官の形成は終わりましたが、性器分化や口蓋閉鎖などは続いています。薬に対する胎児の感受性は下がりますが、催奇形性のある薬剤の服用にはまだ注意が必要です。
妊娠20週目~:薬によって奇形になるような形態的異常は起きないとされていますが、この時期になると胎児毒性についての注意が必要になります。胎盤を通過し、胎児に移行しやすい薬剤のうち、胎児の機能的発育に影響を与える薬剤は避けなければなりません。妊娠20週目以降から分娩までは、鼻症状が日常生活に影響する場合、安全性の高い薬剤を使用するのが好ましいでしょう。
薬剤胎児危険度分類基準(pregnancy category)
安全性の高い薬剤の選択においては、米国食品医薬品局(FDA)による薬剤胎児危険度分類基準(pregnancy category)と照合します(表 1)。
A,B,C,D,X の 5 段階で分類されていますが、添付文書に「妊婦あるいは妊娠の可能性がある女性に対しては投与禁忌」と明記されている薬剤(オキサトミド、トラニラスト、ぺミロラストカリウム)については、妊娠中・妊活中の服用は避けましょう。
表1.米国 FDA Pregnancy Category Definitions
表2.妊婦・妊活中に関する、抗アレルギー薬の投与リスク
分類については表2にあるように、ランクCの内服薬は避けることが望ましいです。よく知られているOTC薬「アレグラ錠」と「アレジオン錠」は要注意です。
同じ成分の点眼薬は局部の使用なので、妊娠への影響は少ないと考えられます。
一番リスクの低いランクAの薬は無いため、ランクBのアレルギンやザイザルを選ぶのが良いでしょう。
【漢方薬を選ぶポイント】「麻黄」を含む漢方薬、小青竜湯も要注意!
花粉症によく使われる小青竜湯も、実は生薬の麻黄が配合されており、注意が必要です。麻黄には血管収縮作用があり、胎児への血流が悪くなる可能性があります。
そして、花粉症・鼻炎・蕁麻疹によく用いられる麻黄を含む漢方製剤には、麻黄湯・小青竜湯・葛根湯・葛根湯加川芎辛夷・越婢加朮湯・麻黄附子細辛湯・五虎湯・麻杏甘石湯・神秘湯など多数ありますので、服用する前はぜひ一度、漢方の専門家に確認することをお勧めいたします。
妊婦・妊活中の方向けの抗アレルギー薬の選択について
麻黄を含む製剤ほど抗アレルギー効果が強いわけではありませんが、柴胡桂枝湯・柴苓湯・参蘇飲・香蘇散・苓甘姜味辛夏仁湯・防己黄耆湯なども昔から使用されており、妊婦への安全性も長期にわたる知見があります。富士堂ではそれらも考慮した上で体質などを判断し提案いたします。
薬効が同じであっても、西洋薬より歴史的に使用経験の長い漢方薬の方が情報量は多く、薬を選択する際の助けになります。
また、西洋薬の抗アレルギー剤を使用しても、十分な効果が得られない場合は漢方薬と併用することで相乗効果が期待できます。
抗アレルギー剤以外でも、妊娠中や妊活中に関するご不安なことやご不明な点がありましたら、ぜひ富士堂漢方薬局までご相談ください。
■漢方相談予約・お問合せ>>「お問い合わせ(LINE,WeChat,Skype,メールフォーム」
■オンライン相談について詳しくはこちら>>「オンライン漢方相談|来店なしでお薬お届け」
<関連記事>
>>花粉症の症状と対策・漢方薬
>>症例報告~猫アレルギーに五虎湯と防已黄耆湯~
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