2020.11.14所長・COVID-19記事
COVID-19を理解する20ヶ条(第6版)
全国での新型コロナ新規患者数は第2波のピークを超え、第3波はすでに医療機関を逼迫させつつあります。
気温が下降し空気が乾燥するこの冬は、正念場です。
富士堂漢方薬局では、これまで複数のコロナ感染者・コロナ後遺症(Post-COVID症候群:コロナ感染後に症状が慢性的に存在するもの例えば、微熱、疲労、乾性咳嗽、呼吸困難感、筋肉痛、睡眠障害、頭に靄がかかっている感覚、集中力や認知力の低下、夜間増悪傾向、筋力低下、痺れやビリビリする感覚など)に苦しむ方々の漢方相談をオンライン(「オンライン漢方相談|ご来店なしで漢方お届け」)で行い、一人一人異なる「証」(個人生体反応)を見極め漢方処方・治療を行ってきました。COVID-19に対する漢方の有効性について社会に周知すべく、多くの実例を分析した「新型コロナウイルス感染症における漢方治療39例報告」は、『漢方の臨床』67巻9号(2020)にも掲載されています。
コロナ関連記事はこちら>>「新型コロナウイルス感染症39例の漢方治療レポート」「漢方を用いた新型コロナ肺炎治療の実例」
この正念場において、より多くの方々が新型コロナウイルス(COVID-19) について理解できるように、最新知見を取り入れ『COVID-19 を理解する20条』を最新版に更新しました。「予防・社会・病態診断・治療」のジャンルに分けておりますので、ぜひご参考になさってください。
医学博士・富士堂漢方薬局所長 許志泉
1 気温の下降に伴い、第三波が日本に押し寄せてきている。この冬は正念場になる
2 飛沫、エアロゾル、接触による感染を防止するため、三密(密集・密接・密閉)の回避、Social Distance(2m以上)の保持が重要である
3 感染予防には手洗い、咳エチケット、消毒、マスクの着用以外に、冬場の換気、45~60%の湿度維持は大事だと強調したい
4 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)がある前提で暮らしや仕事の仕方を工夫する新生活様式の定着
5 「Go To トラベル」、「Go To イート」は感染がひどい地域を除外したほうがよいであろう
6 ある程度の強制力を持つ新型コロナウイルス感染症特措法の整備が必要だと思われる
7 11月9日、米製薬大手ファイザーと独ビオンテック(BioNTech)は開発中のワクチンで90%以上の人の感染を防ぐことができると発表した。来年から日本にもワクチンが提供されるならオリンピックは無事に開催できるだろう
8 民族文化、政治、社会管理などにより各国の対策は異なる。今までのグローバル化社会がコロナ禍により一定のローカル化を含むものへとシフトされつつある
9 ワクチンが世界中に充分に普及した時こそ、社会、経済や文化などはやっとコロナから解放されると言える
10 日本では感染者の8割以上は軽症ないし無症状であるが、一部の感染者は重症化、最悪の場合は死に至る。臨床では、重症患者の治療とケアがより大切である
11 今冬はインフルエンザとコロナの同時流行が予測されるため、医療機関ひっ迫を少しでも軽減させるためにも、インフルエンザの予防接種を勧めたい
12 唾液によるPCR検査と抗原検査を効率よく使い分ける。抗原検査は簡便かつ短時間(約30分間)で結果がでるため、大規模スクリーニング検査に活用すべきで、PCR検査は費用が比較的高く結果が出るまでに半日以上かかるが、感度がより高く、診断や証明に用いる
13 Post-COVID症候群(コロナ感染後に症状が慢性的に存在するもの例えば、微熱、疲労、乾性咳嗽、呼吸困難感、筋肉痛、睡眠障害、頭に靄がかかっている感覚、集中力や認知力の低下、夜間増悪傾向、筋力低下、痺れやビリビリする感覚など)が多くみられ、漢方での治療やケアをお勧めする
14 重症予測因子が判明(感染初期及び入院中数日で重症度の予測に役立つ)
A.感染初期:①CCL17の低下、②IFN-λ3、IL-6、IP-10、CXCL9の上昇 ③尿中L-FABPの上昇(体内酸素が少ないほど上昇する)
B.入院数日:アルブミン(ALB)の低下、乳酸脱水素酵素(LDH)、C反応性蛋白(CRP)、好中球数、D-dimerの上昇、クレアチニンの上昇などが挙げられる
15 COVID-19が重症化すると、サイトカインストーム(過剰な免疫反応)が引き金となり急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を起こしたり、血栓症や重篤な臓器障害を起こしたりすることがある。動脈血栓症としては脳梗塞、心筋梗塞、四肢動脈血栓症など、静脈血栓症としては深部静脈血栓症、肺血栓塞栓症、静脈血栓塞栓症などが挙げられる。画像に反映されない血栓性微小血管障害がある。小児では川崎病に類似した疾患を誘発することがある
16 高年齢、慢性心臓病、慢性肺疾患、高IL-6値、高D-dimer値が死亡リスクの判定に役立つ。死因としては呼吸不全が最も多いが、サイトカインストームを伴った凝固活性化、血栓症(脳梗塞や心筋梗塞など)や播種性血管内凝固症候群(DIC)発症、多臓器不全への進展も死因になる
17 漢方には免疫調整(免疫応答と抗体産生の促進やサイトカイン過剰産生の抑制)や気道修復、全身症状や後遺症の改善などに作用があるため早期からの活用が望ましい。個人生体反応(証)を見極めて治療する。軽症から中等の場合漢方のみでも充分に有効。重症者への治療にも漢方の併用によりさらに効果的になる
18「レムデシビル」(英: Remdesivir、中: 瑞德西韦)は細胞内のウイルス増殖を抑制
19 中・重症肺炎に気管支喘息シクレソニド(Ciclesonide)が有効である可能性がある。サイトカインストームが起きた重症患者には、ステロイド剤のデキサメタゾン(Dexamethasone)、IL-6受容体に対する抗体医薬の「アクテムラ」(Tocilizumab)、サリルマブ(Sarilumab)が有効で、死亡率を下げられる
20 血清療法(COVID-19の回復期にある患者から採取した血漿を重症患者に投与する方法)も重症患者の治療の選択肢の一つになる。抗体薬も有効だが高価である
気温が下降し空気が乾燥するこの冬は、正念場です。
富士堂漢方薬局では、これまで複数のコロナ感染者・コロナ後遺症(Post-COVID症候群:コロナ感染後に症状が慢性的に存在するもの例えば、微熱、疲労、乾性咳嗽、呼吸困難感、筋肉痛、睡眠障害、頭に靄がかかっている感覚、集中力や認知力の低下、夜間増悪傾向、筋力低下、痺れやビリビリする感覚など)に苦しむ方々の漢方相談をオンライン(「オンライン漢方相談|ご来店なしで漢方お届け」)で行い、一人一人異なる「証」(個人生体反応)を見極め漢方処方・治療を行ってきました。COVID-19に対する漢方の有効性について社会に周知すべく、多くの実例を分析した「新型コロナウイルス感染症における漢方治療39例報告」は、『漢方の臨床』67巻9号(2020)にも掲載されています。
コロナ関連記事はこちら>>「新型コロナウイルス感染症39例の漢方治療レポート」「漢方を用いた新型コロナ肺炎治療の実例」
この正念場において、より多くの方々が新型コロナウイルス(COVID-19) について理解できるように、最新知見を取り入れ『COVID-19 を理解する20条』を最新版に更新しました。「予防・社会・病態診断・治療」のジャンルに分けておりますので、ぜひご参考になさってください。
医学博士・富士堂漢方薬局所長 許志泉
⇒COVID-19を理解する20ヶ条(第6版)拡大版はこちら
予防
1 気温の下降に伴い、第三波が日本に押し寄せてきている。この冬は正念場になる
2 飛沫、エアロゾル、接触による感染を防止するため、三密(密集・密接・密閉)の回避、Social Distance(2m以上)の保持が重要である
3 感染予防には手洗い、咳エチケット、消毒、マスクの着用以外に、冬場の換気、45~60%の湿度維持は大事だと強調したい
4 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)がある前提で暮らしや仕事の仕方を工夫する新生活様式の定着
社会
5 「Go To トラベル」、「Go To イート」は感染がひどい地域を除外したほうがよいであろう
6 ある程度の強制力を持つ新型コロナウイルス感染症特措法の整備が必要だと思われる
7 11月9日、米製薬大手ファイザーと独ビオンテック(BioNTech)は開発中のワクチンで90%以上の人の感染を防ぐことができると発表した。来年から日本にもワクチンが提供されるならオリンピックは無事に開催できるだろう
8 民族文化、政治、社会管理などにより各国の対策は異なる。今までのグローバル化社会がコロナ禍により一定のローカル化を含むものへとシフトされつつある
9 ワクチンが世界中に充分に普及した時こそ、社会、経済や文化などはやっとコロナから解放されると言える
病態診断
10 日本では感染者の8割以上は軽症ないし無症状であるが、一部の感染者は重症化、最悪の場合は死に至る。臨床では、重症患者の治療とケアがより大切である
11 今冬はインフルエンザとコロナの同時流行が予測されるため、医療機関ひっ迫を少しでも軽減させるためにも、インフルエンザの予防接種を勧めたい
12 唾液によるPCR検査と抗原検査を効率よく使い分ける。抗原検査は簡便かつ短時間(約30分間)で結果がでるため、大規模スクリーニング検査に活用すべきで、PCR検査は費用が比較的高く結果が出るまでに半日以上かかるが、感度がより高く、診断や証明に用いる
13 Post-COVID症候群(コロナ感染後に症状が慢性的に存在するもの例えば、微熱、疲労、乾性咳嗽、呼吸困難感、筋肉痛、睡眠障害、頭に靄がかかっている感覚、集中力や認知力の低下、夜間増悪傾向、筋力低下、痺れやビリビリする感覚など)が多くみられ、漢方での治療やケアをお勧めする
14 重症予測因子が判明(感染初期及び入院中数日で重症度の予測に役立つ)
A.感染初期:①CCL17の低下、②IFN-λ3、IL-6、IP-10、CXCL9の上昇 ③尿中L-FABPの上昇(体内酸素が少ないほど上昇する)
B.入院数日:アルブミン(ALB)の低下、乳酸脱水素酵素(LDH)、C反応性蛋白(CRP)、好中球数、D-dimerの上昇、クレアチニンの上昇などが挙げられる
15 COVID-19が重症化すると、サイトカインストーム(過剰な免疫反応)が引き金となり急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を起こしたり、血栓症や重篤な臓器障害を起こしたりすることがある。動脈血栓症としては脳梗塞、心筋梗塞、四肢動脈血栓症など、静脈血栓症としては深部静脈血栓症、肺血栓塞栓症、静脈血栓塞栓症などが挙げられる。画像に反映されない血栓性微小血管障害がある。小児では川崎病に類似した疾患を誘発することがある
16 高年齢、慢性心臓病、慢性肺疾患、高IL-6値、高D-dimer値が死亡リスクの判定に役立つ。死因としては呼吸不全が最も多いが、サイトカインストームを伴った凝固活性化、血栓症(脳梗塞や心筋梗塞など)や播種性血管内凝固症候群(DIC)発症、多臓器不全への進展も死因になる
治療
17 漢方には免疫調整(免疫応答と抗体産生の促進やサイトカイン過剰産生の抑制)や気道修復、全身症状や後遺症の改善などに作用があるため早期からの活用が望ましい。個人生体反応(証)を見極めて治療する。軽症から中等の場合漢方のみでも充分に有効。重症者への治療にも漢方の併用によりさらに効果的になる
18「レムデシビル」(英: Remdesivir、中: 瑞德西韦)は細胞内のウイルス増殖を抑制
19 中・重症肺炎に気管支喘息シクレソニド(Ciclesonide)が有効である可能性がある。サイトカインストームが起きた重症患者には、ステロイド剤のデキサメタゾン(Dexamethasone)、IL-6受容体に対する抗体医薬の「アクテムラ」(Tocilizumab)、サリルマブ(Sarilumab)が有効で、死亡率を下げられる
20 血清療法(COVID-19の回復期にある患者から採取した血漿を重症患者に投与する方法)も重症患者の治療の選択肢の一つになる。抗体薬も有効だが高価である
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