2019.10.15漢方知識
カンゾウ(甘草):栽培が難しいとされる薬用作物
マメ科カンゾウには多くの種類がありますが、日本薬局方によるとウラルカンゾウおよびスペインカンゾウが基原植物とされています。
医薬品として使用する部位は根、ストロン(匍匐茎:ほふくけい、地上近くを這ってのびる茎)です。足のつり・こむら返りの漢方薬でよく知られる芍薬甘草湯はじめあらゆる漢方薬に用いられています。
最近、葉の部分にもポリフェノールやフラボノイドが含まれていることが分かり、ヘアケア、スキンケアにも有用であると注目されています。
効能は主に抗炎症、鎮痙、去痰作用などが知られています。
↑ウラルカンゾウ
ポット(筒)による栽培(2018年5月 都立薬用植物園にて撮影)
甘草という名前だけに味は甘く、薬用としてだけでなく甘味料として、また化粧品としても有用のため世界中でその需要が高まっています。
甘味の成分は「グリチルリチン酸」という有機化合物で、砂糖(ショ糖)の150~200倍の甘さと言われています。
↑当店で取り扱っている、グリチルリチン含有化粧品(ホワイトリリー商品)
生育に本来数年はかかるそうなのですが、近年の急激な需要の高まりから短期間で収穫することが多くなっているらしいです。そのせいで薬効も落ちてきているのだとか。
乱獲による資源枯渇の他、薬用部位である根が地中深くにまで伸びるため、収穫の為に深く掘らなければならないということから環境破壊にも影響すると考えられる植物の一つです。
↑スペインカンゾウ(リコリス)
ポット(筒)による栽培(2018年9月撮影 都立薬用植物園にて撮影)
↑ウラルカンゾウの葉の拡大図:葉は広めの楕円形
↑スペインカンゾウの葉の拡大図:葉は細めの楕円形
ちなみにこのスペインカンゾウ、実はスペインでは生産されておらず、主産地はトルコだそうです・・。
同じ「甘草」として生薬に用いられていますが、種類が違うと葉の大きさなど異なってくるんですね。
↑甘草(ウラルカンゾウと思われる)の花
同じマメ科のアカツメクサやレンゲソウに、花や葉の形が似ているように思えます。
↑マメ科アカツメクサ
2018年6月神奈川県川崎市にて撮影
↑マメ科レンゲソウ
現在、日本で使用されている医療用甘草は100%中国からの輸入品です。
気候、土壌の違いなどから、甘草の日本での栽培はそう甘くはなく、極めて難しく辛い(つらい)ようです。全国各地で甘草の栽培研究が盛んに行われています。
また甘草は、大量に摂取すると浮腫みや高血圧、手足のだるさなどの副作用が出ることもあることから、その取扱いには注意が必要な生薬の一つです。
↑ウリ科アマチャヅル
ちなみにアマチャヅルはウリ科アマチャヅル属の植物で、甘草とは全く異なるものです。
味は名前の通り、やはり甘いですが、その成分は甘草に含まれているグリチルリチン酸ではなく、サポニン類です。
の2つが知られています。
その意味として、①は悲しみという過去を忘れて前へ進む、②は外部から与えられた刺激、変化に対して自分を変化させる、合わせる。
つまりご自身を今現在の状況に適応させるというふうに前向きに捉えると、似たような意味ですね。
そう考えると、甘草の愛らしい花と上品な甘美さは、目まぐるしく変わる社会環境の中、それに合わせて変化、順応し続けていく現代人たちへの“自然からの小さな癒し”かもしれませんね。
薬剤師・産業カウンセラー入多裕
■生薬問合せ・漢方相談予約はこちら>>「お問い合わせ(LINE,WeChat,Skype,メールフォーム」
【引用文献】
医薬品として使用する部位は根、ストロン(匍匐茎:ほふくけい、地上近くを這ってのびる茎)です。足のつり・こむら返りの漢方薬でよく知られる芍薬甘草湯はじめあらゆる漢方薬に用いられています。
最近、葉の部分にもポリフェノールやフラボノイドが含まれていることが分かり、ヘアケア、スキンケアにも有用であると注目されています。
効能は主に抗炎症、鎮痙、去痰作用などが知られています。
↑ウラルカンゾウ
ポット(筒)による栽培(2018年5月 都立薬用植物園にて撮影)
甘草という名前だけに味は甘く、薬用としてだけでなく甘味料として、また化粧品としても有用のため世界中でその需要が高まっています。
甘味の成分は「グリチルリチン酸」という有機化合物で、砂糖(ショ糖)の150~200倍の甘さと言われています。
↑当店で取り扱っている、グリチルリチン含有化粧品(ホワイトリリー商品)
生育に本来数年はかかるそうなのですが、近年の急激な需要の高まりから短期間で収穫することが多くなっているらしいです。そのせいで薬効も落ちてきているのだとか。
乱獲による資源枯渇の他、薬用部位である根が地中深くにまで伸びるため、収穫の為に深く掘らなければならないということから環境破壊にも影響すると考えられる植物の一つです。
↑スペインカンゾウ(リコリス)
ポット(筒)による栽培(2018年9月撮影 都立薬用植物園にて撮影)
↑ウラルカンゾウの葉の拡大図:葉は広めの楕円形
↑スペインカンゾウの葉の拡大図:葉は細めの楕円形
ちなみにこのスペインカンゾウ、実はスペインでは生産されておらず、主産地はトルコだそうです・・。
同じ「甘草」として生薬に用いられていますが、種類が違うと葉の大きさなど異なってくるんですね。
↑甘草(ウラルカンゾウと思われる)の花
同じマメ科のアカツメクサやレンゲソウに、花や葉の形が似ているように思えます。
↑マメ科アカツメクサ
2018年6月神奈川県川崎市にて撮影
↑マメ科レンゲソウ
現在、日本で使用されている医療用甘草は100%中国からの輸入品です。
気候、土壌の違いなどから、甘草の日本での栽培はそう甘くはなく、極めて難しく辛い(つらい)ようです。全国各地で甘草の栽培研究が盛んに行われています。
また甘草は、大量に摂取すると浮腫みや高血圧、手足のだるさなどの副作用が出ることもあることから、その取扱いには注意が必要な生薬の一つです。
↑ウリ科アマチャヅル
ちなみにアマチャヅルはウリ科アマチャヅル属の植物で、甘草とは全く異なるものです。
味は名前の通り、やはり甘いですが、その成分は甘草に含まれているグリチルリチン酸ではなく、サポニン類です。
ところで甘草の花言葉は、
①悲しみを忘れる
②順応
の2つが知られています。
その意味として、①は悲しみという過去を忘れて前へ進む、②は外部から与えられた刺激、変化に対して自分を変化させる、合わせる。
つまりご自身を今現在の状況に適応させるというふうに前向きに捉えると、似たような意味ですね。
そう考えると、甘草の愛らしい花と上品な甘美さは、目まぐるしく変わる社会環境の中、それに合わせて変化、順応し続けていく現代人たちへの“自然からの小さな癒し”かもしれませんね。
薬剤師・産業カウンセラー入多裕
■生薬問合せ・漢方相談予約はこちら>>「お問い合わせ(LINE,WeChat,Skype,メールフォーム」
【引用文献】
平凡社:身近な薬用植物 指田豊、木原浩著
薬事日報社:基礎からの漢方薬 金成俊著
たにぐち書店:読み物 漢方生薬学 木村孟淳著
薬用植物栽培研究会:薬用植物研究 2018,40(2),11-16
薬用植物栽培研究会:薬用植物研究 2018,40(2),17-29
薬用植物栽培研究会:薬用植物研究 2019,41(1),9-13
https://www.nikkankyo.org/seihin/shouyaku/03.htm
http://www.maruzenpcy.co.jp/jiten/ke/k/kanzouha.html
https://tanpure.com/1723/
https://www.nikkankyo.org/serv/pdf/shiyouryou-chousa.pdf
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