概念

更年期は、まさに性成熟期から生殖不能期への移行期（45～55歳）にあたり、平均51歳で訪れる閉経以降の30年余の生活をいかに健康に過ごすかを考える、人生の節目といってもよいでしょう。
女性では、女性ホルモンであるエストロゲンが低下することにより発生する心身の不調（ほてり・のぼせなど）である。
男性では、概ね40歳以降、加齢やストレスなどにより男性ホルモンであるテストステロンが低下することにより発生するものである。

臨床特徴

女性の場合：
① 自律神経失調症様の症状
脈が速くなる（頻脈）、動悸がする、血圧が激しく上下する、腹痛、微熱、ホットフラッシュ（ほてり・のぼせ）、多汗、頭痛、めまい、耳鳴り、肩こり、不眠、疲労感、口の渇き、のどのつかえ、息切れ、下痢、便秘、腰痛、しびれ、知覚過敏、関節痛、筋肉痛、性交痛、生理不順など。
② 精神症状
ヒステリー情緒不安定やイライラ、抑うつ気分など精神的な症状が現れることも多い。

男性の場合：
① 性機能関連症状
性欲の低下、ED（勃起障害）など。
② 精神・心理症状
抑うつ感、落胆、不安、疲労感、記憶力や集中力の低下など。
③ 身体症状
発汗、ほてり、睡眠障害、関節・筋肉関連の症状など。

 

原因：

加齢とともに性ホルモンの分泌量の減少によりものである。

西洋医学治療：
① ホルモン療法：
性ホルモンを注射・内服・貼り付けにより、性ホルモンを補充し、症状を緩和させる。
② プラセンタ療法
プラセンタを注射する療法で、副作用はホルモン療法より少ない。

中医学の基本病機
腎陰虚はベースで、加齢とともに腎水が消耗されます。
それにより、心火が抑えられなく、心火上炎・心腎不交で精神状態の不調。
又は、陰不化陽、腎陽も足りなくなるにより、腎の陰陽両虚。

 

適応漢方解説

【温経湯】
比較的体力の低下した冷え症の人で、手足がほてり、煩熱、唇がかわく、下腹部の膨満感また不快感があり、腰部の冷え、腹痛、下痢、咳嗽、吐き気も使用する。

【柴胡桂枝乾姜湯】
比較的体力の低下した人で、冷え症、顔色がすぐれず、貧血気味、疲労緩怠感があり、動悸、息切れ、不眠などの精神神経症状。悪寒、微熱、盗汗、口渇など伴う場合もある。

【加味逍遥散】【加味逍遥散合四物湯】【逍遥散】
体質虚弱で、神経質な婦人、肩がこり、疲れやすく、精神不安などの精神神経症状（多様な愁訴）、ときに便秘の傾向、貧血性で、四肢だるく、頭重、めまい、不眠、のぼせ、微熱または時に灼熱感を伴う生理異常がある。
皮膚乾燥、色つや・血色の悪い、貧血傾向の婦人に四物湯と合方。
熱症は酷くない時に【逍遥散】

【当帰芍薬散】
比較的に体力乏しく、色白く、冷え症で貧血の傾向があり疲労しやすく、ときに下腹部痛、頭重、めまい、頻尿または尿利減少（浮腫みを伴う）、胃内停水、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴える。

【桂枝茯苓丸】
体力あり、のぼせ症で、血色よく、頭痛、肩こり、めまい、下腹部痛、足腰の冷え、鬱血が確認された方。

【八味地黄丸】【六味地黄丸】
下半身の疲労脱力、冷え、ほてり、多尿頻尿・尿利減少、尿の淋漓、腰痛を目標。
火照りや冷えそれ程酷くない方に六味地黄丸

【四物湯】【温清飲】
皮膚乾燥、色つやの悪い体質で、胃腸障害がない。
皮膚炎、湿疹、蕁麻疹、皮膚搔痒症を伴う時に【温清飲】

【柴胡加竜骨牡蛎湯】
男性更年期によく使われ、比較的体力あり、精神不安、不眠、いらいら、頭痛、肩こり、腹部大動脈の拍動亢進を認める時に使います

【鹿茸大補湯】
身体が衰弱し、冷え、痩せて皮膚が枯燥して貧血食欲不振を呈するもの。

【婦宝当帰湯】
更年期障害による下記疾患：頭痛，肩こり，貧血，腰痛，腹痛，めまい，のぼせ，耳鳴り，生理不順，生理痛，冷え症

 

症例

47歳、更年期障害（ホットフラッシュ・動悸・汗かき）漢方で6週間改善。10歳の若返り出来るの？