2018.09.26>腫れ物・悪性腫瘍(癌・がん)
癌と漢方3:正気と邪毒から悪性腫瘍を考える
皆さん、今回私の経験や理解から「正気と邪毒から悪性腫瘍を考える」を題にしてお話しします。
そもそも、生物の体に体を守る力が揃えています。この守る力は中医学では正気と言います。逆に外部環境から、食物から、及びさまざまの原因で内から生まれた有害の物質及び不良な反応プロセスが邪毒になります。
悪性腫瘍は正気の破綻と邪毒の蓄積との総合作用の結果と言えるでしょう。
これらの関係をよく理解することで、癌予防には当然つながります。
正気は体を守るシステムですが、主に免疫システムをさしますが、それ以外に全体臓腑機能、代謝機能、気血水の循環処理能力、神経やホルモンなどの調整力も含まれています。
加齢や老化や不摂生などとともに、臓腑・精・気・神・血などが低下することで下記のことが進行してくることで、正気が次第に正常に働かなくなってきます。
① 臓腑機能の低下:腎虚(全身の老化、代謝・循環・調整などの機能低下)、脾虚(消化力の低下、腸内環境の質の低下)
② 代謝能・処理能の低下:内臓脂肪(痰濁)、終末糖化産物(Advanced Glycation End Products ;AGEs)などが蓄積し、更に不良な反応プロセスを引き起こします。
③ 循環能の低下:気・血・津液の循環不良になります。
④ 調整能の低下:臓腑、経絡、気血水などの調整ネットワークの機能低下になります。
正気が虚弱し、いろんな正常機能が低下してくると、さらに邪毒が助長してくることが多くなります。
邪毒は生体に不良影響を与える物質や反応プロセスを含めます。
邪毒はルートからいえば外毒、内毒、外内毒がある。
たとえば、ウイルス、細菌、環境汚染、喫煙、などで発がんになることが多い。肝炎ウイルスと肝臓がん、ヒトパピローマウイルス(HPV)と子宮頸がん、ウイルスと悪性リンパ腫や)などがわかっております。
発がん性細菌ではピロリ菌と胃癌、腸内細菌と大腸癌・肝臓がんなどが近年にも明らかになりつつあります。
PM2.5、水や空気や土壌汚染、さらに放射線などの汚染なども癌の原因になりえます。
喫煙などの生活習慣も事実上は肺がんをはじめ、いろんな悪性腫瘍とも関係することが証明されています。
たとえば、内臓脂肪による慢性炎症プロセス(火熱の毒)などが血管を傷つけ、糖尿病や高血圧症や老化を引き起こす以外に、癌の形成を促します。中医学では「内生火熱(内から発生した火熱の毒)」、「壮火食気(異常な火熱の毒が正常の気を食い壊す)」などは慢性炎症による異常反応や結果をうまく表現していると思います。
また、運動不足による気血の鬱滞、腸内細菌叢のアンバランスや便秘などによる腸管毒などによるものも内毒ともいえるでしょう。
当然、外毒や内毒も揃えているときもあれば、或は両方の相互影響などによるものもあります。結果的に異常生体反応が起こり、癌になることになります。
加齢および不適切な生活習慣、或は病気による機能不全などによる正気の虚弱が発生します。また邪毒の蓄積、および両者の相互作用で、結果的に正気システムの破綻になり、邪毒による癌の形成プロセスを防げなくなり、癌になってしまうと考えてよいでしょう。
中医学の正邪学説、および毒の概念が一見素朴ですが、近年の研究で、まさに中医学の認識の正しさを実証しています。これらの理論に基づく治療や予防も臨床でも証明されています。
漢方治療では、補剤の地黄剤、人参剤、黄耆剤、当帰、大棗、芍薬、附子などなどで正気を高めることが多い、また機能調節、解毒、駆瘀血、理気剤、利水剤などの柴胡剤や半夏剤、大黄剤、枳実、忍冬、黄連解毒湯、防風通聖散、猪苓、茯苓、川芎、荊芥、防風、樸樕などが多く用いられます。これらの併用も当然多いわけです。
正気と邪毒、およびそれらの関係を総合的に理解することで、癌の治療や予防に大いに寄与するでしょう。
そもそも、生物の体に体を守る力が揃えています。この守る力は中医学では正気と言います。逆に外部環境から、食物から、及びさまざまの原因で内から生まれた有害の物質及び不良な反応プロセスが邪毒になります。
悪性腫瘍は正気の破綻と邪毒の蓄積との総合作用の結果と言えるでしょう。
これらの関係をよく理解することで、癌予防には当然つながります。
1.正気
正気は体を守るシステムですが、主に免疫システムをさしますが、それ以外に全体臓腑機能、代謝機能、気血水の循環処理能力、神経やホルモンなどの調整力も含まれています。
加齢や老化や不摂生などとともに、臓腑・精・気・神・血などが低下することで下記のことが進行してくることで、正気が次第に正常に働かなくなってきます。
① 臓腑機能の低下:腎虚(全身の老化、代謝・循環・調整などの機能低下)、脾虚(消化力の低下、腸内環境の質の低下)
② 代謝能・処理能の低下:内臓脂肪(痰濁)、終末糖化産物(Advanced Glycation End Products ;AGEs)などが蓄積し、更に不良な反応プロセスを引き起こします。
③ 循環能の低下:気・血・津液の循環不良になります。
④ 調整能の低下:臓腑、経絡、気血水などの調整ネットワークの機能低下になります。
正気が虚弱し、いろんな正常機能が低下してくると、さらに邪毒が助長してくることが多くなります。
2.邪毒
邪毒は生体に不良影響を与える物質や反応プロセスを含めます。
邪毒はルートからいえば外毒、内毒、外内毒がある。
① 外毒:外毒は外から体に入ってがんの発症にかかわっているものです。
たとえば、ウイルス、細菌、環境汚染、喫煙、などで発がんになることが多い。肝炎ウイルスと肝臓がん、ヒトパピローマウイルス(HPV)と子宮頸がん、ウイルスと悪性リンパ腫や)などがわかっております。
発がん性細菌ではピロリ菌と胃癌、腸内細菌と大腸癌・肝臓がんなどが近年にも明らかになりつつあります。
PM2.5、水や空気や土壌汚染、さらに放射線などの汚染なども癌の原因になりえます。
喫煙などの生活習慣も事実上は肺がんをはじめ、いろんな悪性腫瘍とも関係することが証明されています。
② 内毒:生体内から発生した癌に関わっているものです。
たとえば、内臓脂肪による慢性炎症プロセス(火熱の毒)などが血管を傷つけ、糖尿病や高血圧症や老化を引き起こす以外に、癌の形成を促します。中医学では「内生火熱(内から発生した火熱の毒)」、「壮火食気(異常な火熱の毒が正常の気を食い壊す)」などは慢性炎症による異常反応や結果をうまく表現していると思います。
また、運動不足による気血の鬱滞、腸内細菌叢のアンバランスや便秘などによる腸管毒などによるものも内毒ともいえるでしょう。
③ 外内交毒
当然、外毒や内毒も揃えているときもあれば、或は両方の相互影響などによるものもあります。結果的に異常生体反応が起こり、癌になることになります。
3.正気破綻と邪毒の蓄積、両者の総合作用で癌になる
加齢および不適切な生活習慣、或は病気による機能不全などによる正気の虚弱が発生します。また邪毒の蓄積、および両者の相互作用で、結果的に正気システムの破綻になり、邪毒による癌の形成プロセスを防げなくなり、癌になってしまうと考えてよいでしょう。
中医学の正邪学説、および毒の概念が一見素朴ですが、近年の研究で、まさに中医学の認識の正しさを実証しています。これらの理論に基づく治療や予防も臨床でも証明されています。
漢方治療では、補剤の地黄剤、人参剤、黄耆剤、当帰、大棗、芍薬、附子などなどで正気を高めることが多い、また機能調節、解毒、駆瘀血、理気剤、利水剤などの柴胡剤や半夏剤、大黄剤、枳実、忍冬、黄連解毒湯、防風通聖散、猪苓、茯苓、川芎、荊芥、防風、樸樕などが多く用いられます。これらの併用も当然多いわけです。
正気と邪毒、およびそれらの関係を総合的に理解することで、癌の治療や予防に大いに寄与するでしょう。
富士堂東洋医学研究所 所長 許志泉
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