2018.09.25>アトピー・皮膚炎・蕁麻疹・乾癬など
蕁麻疹における西洋医学の認識
蕁麻疹(じんましん)とは何らかの原因により皮膚のいろいろな部位に膨疹の出現を特徴とするものです。
・皮膚の灼熱感、かゆみを伴う発疹が生じる。数分〜数時間で消退するが、発作的に反復して発疹が起こる。
・発疹の特徴として、軽度の膨らみをもった「みみず腫れ」を特徴とし、医学用語では膨疹(ぼうしん)と表現する。
・気道内にも浮腫を生じることがあり、この場合、呼吸困難を併発し、死亡することもある。
蕁麻疹の原因は様々で、また症状の現れ方にもいくつか特徴的なものがあります。しかしこれらは必ずしも別々に起こるのではなく、いくつかの原因が重なっていたり、二つ以上のタイプの蕁麻疹が同時に現れることもあり、蕁麻疹の分類は必ずしも明確にはされていません。
アレルギー性蕁麻疹と非アレルギー性蕁麻疹でみると下記のように分類できます。
I型アレルギーが関与していると考えられている。IgEと呼ばれる抗体が肥満細胞に付着しており、抗原がその抗体に付着すると肥満細胞が活性化し、中に蓄えられていたヒスタミンを大量に放出して症状を引き起こす。
抗原被曝から30分以内には症状が出る。ヒスタミンの放出は15分程度であり、通常はすぐに治まる。しかし、繰り返しの抗原被曝により肥満細胞が活発になり皮疹の出現・消腿が1ヶ月以上も続くことがあり、その場合、慢性蕁麻疹となる。
アレルギー性蕁麻疹は、原因にで分類すると、食物性蕁麻疹と薬物性蕁麻疹があります。
食物性蕁麻疹:通常、原因食物を摂取してから30分以内に起こる。サバなどの生魚が多いが、古くなるとすぐ醗酵してヒスタミン性の物質を作るためとされている。また、食物そのものに対してアレルギー反応はないが、消化器官で代謝された代謝産物に対してアレルギー反応をもっている場合も多い。
食べ過ぎ・飲みすぎ・風邪による感染性胃腸炎などがあると、体にとって異物とみなされる不純物(抗原物質)が吸収され蕁麻疹が生じやすくなるということもあり、アレルギー反応だけでなく、何らかのプラスアルファの要因が加わって生じることも多いと考えられる。
薬剤性蕁麻疹:薬剤によるアレルギーである。通常、薬剤摂取後30分以内に起こる。抗生剤・NSAIDの頻度が高い。
2〜3年以上続く慢性蕁麻疹の中には、膠原病や内臓疾患を合併していることもある。
アレルギー性の反応はないが、何らかの刺激でヒスタミンが肥満細胞から分泌されたり、神経末端よりアセチルコリンなどの物質が分泌され、それにより血管透過性が亢進して症状が出るものなどがある。その一方で、原因機序が確定していないため非アレルギー性と扱っているものも含まれる。
なお、アレルギー性と異なりヒスタミンなどの放出が長かったりして、すぐに治まるとは限らない。
非アレルギー性蕁麻疹は原因で分類すると寒冷蕁麻疹・日光蕁麻疹・コリン性蕁麻疹・クィンケ浮腫があります。
寒冷蕁麻疹:寒気、冷水にさらされた後にその暴露部位に膨疹が生じることをいう。もし寒冷蕁麻疹と診断されたら冷水中で泳ぐことは危険である。また冷たい飲み物(ビール、ジュース、水)を一気に飲むと咽頭や喉頭に浮腫を生じ呼吸困難になりやすい。ヒスタミンが分泌され蕁麻疹が生じるが、必ずしもアレルギー反応によるものでない。
日光蕁麻疹:日光照射後10ないし20分で照射部位に膨疹が生じるものを日光蕁麻疹という。膨疹は日光の当たった皮膚に限局して現れ、日光を避けると1~2時間くらいで痕跡を残さず消えていく。
光のエネルギーにより皮膚の成分が刺激されて構造が変化し、それが抗原となって即時型アレルギー反応が成立するという意見もあり、アレルギーの関与はまだ完全には否定できていない。
コリン性蕁麻疹:発汗、運動、精神的緊張などで交感神経が刺激された後、直径1cm以下の膨疹が出来るのをコリン性蕁麻疹という。膨疹の周囲に紅班が見られ痒いというより痛痒いと言う様子である。夕方から夜にかけて出て、大脳皮質が休んでいる夜間には出ない。本症の発生機序はよくわかっていないが発汗刺激因子により、中脳の発熱中枢が刺激され、コリン性神経を介して皮膚の神経末端でアセチルコリンが分泌され膨疹が生じるといわれている。
コリン性蕁麻疹はアセチルコリンに対して膨疹が生じる蕁麻疹であるが、ヒスタミンがどのように関与するかは報告者により異なる。汗の水分が皮脂と反応して中毒物質を生じ、これが吸収されて毛包周囲の肥満細胞からヒスタミンを遊離させるという説もある。以前から心因性蕁麻疹としてストレスによる蕁麻疹があるが、多くはアセチルコリンが関与しているとされている。
クィンケ浮腫:クィンケ浮腫は血管性浮腫(Angioedema)とも呼ばれ、ヒスタミンの他にセロトニン、その他血管作動性ペプチドが作用して浮腫が出来る。クィンケの浮腫は蕁麻疹と同じアレルギー機序が考えられているが、蕁麻疹(真皮上層)とは違ってより深い真皮から皮下組織に浮腫が生じる。
従って臨床的には顔瞼、口唇、頬などが限局性に腫脹するのが特徴で、熱感、瘙痒を伴う。咽頭粘膜や喉頭粘膜に浮腫が発生すると呼吸困難をきたすことがある。限局性の浮腫は数時間から数日持続する。クィンケの浮腫には前駆症状として食欲不振、胃腸障害、頭痛などが認められ、ただ単なる抗原―抗体反応だけでは説明がつかない事が多い。原因はよくわかっていないが薬剤、特にペニシリン系薬剤が関係しているといわれる。
抗ヒスタミン薬(H1 blocker)・抗アレルギー薬を使用するのが一般的。
外用剤は、抗ヒスタミン製剤のレスタミン軟膏や、ステロイド外用剤が使用される。
蕁麻疹の漢方治療ついてはこちら
>>蕁麻疹に対する漢方医学の認識と漢方薬治療
>>湿疹(皮膚炎)・アトピー・蕁麻疹の漢方治療と改善例
【皮膚科】漢方治療症例
>>乾燥性皮膚炎の痒みが漢方薬でみるみる軽快。自律神経の乱れも改善!
>>ステロイド性皮膚炎の漢方治療【アレグラ不要に】
>>アトピー性皮膚炎(10年以上)が漢方1年で寛解
1.蕁麻疹の症状
・皮膚の灼熱感、かゆみを伴う発疹が生じる。数分〜数時間で消退するが、発作的に反復して発疹が起こる。
・発疹の特徴として、軽度の膨らみをもった「みみず腫れ」を特徴とし、医学用語では膨疹(ぼうしん)と表現する。
・気道内にも浮腫を生じることがあり、この場合、呼吸困難を併発し、死亡することもある。
2.分類|アレルギー性蕁麻疹と非アレルギー性蕁麻疹
蕁麻疹の原因は様々で、また症状の現れ方にもいくつか特徴的なものがあります。しかしこれらは必ずしも別々に起こるのではなく、いくつかの原因が重なっていたり、二つ以上のタイプの蕁麻疹が同時に現れることもあり、蕁麻疹の分類は必ずしも明確にはされていません。
アレルギー性蕁麻疹と非アレルギー性蕁麻疹でみると下記のように分類できます。
【アレルギー性蕁麻疹】
I型アレルギーが関与していると考えられている。IgEと呼ばれる抗体が肥満細胞に付着しており、抗原がその抗体に付着すると肥満細胞が活性化し、中に蓄えられていたヒスタミンを大量に放出して症状を引き起こす。
抗原被曝から30分以内には症状が出る。ヒスタミンの放出は15分程度であり、通常はすぐに治まる。しかし、繰り返しの抗原被曝により肥満細胞が活発になり皮疹の出現・消腿が1ヶ月以上も続くことがあり、その場合、慢性蕁麻疹となる。
アレルギー性蕁麻疹は、原因にで分類すると、食物性蕁麻疹と薬物性蕁麻疹があります。
食物性蕁麻疹:通常、原因食物を摂取してから30分以内に起こる。サバなどの生魚が多いが、古くなるとすぐ醗酵してヒスタミン性の物質を作るためとされている。また、食物そのものに対してアレルギー反応はないが、消化器官で代謝された代謝産物に対してアレルギー反応をもっている場合も多い。
食べ過ぎ・飲みすぎ・風邪による感染性胃腸炎などがあると、体にとって異物とみなされる不純物(抗原物質)が吸収され蕁麻疹が生じやすくなるということもあり、アレルギー反応だけでなく、何らかのプラスアルファの要因が加わって生じることも多いと考えられる。
薬剤性蕁麻疹:薬剤によるアレルギーである。通常、薬剤摂取後30分以内に起こる。抗生剤・NSAIDの頻度が高い。
2〜3年以上続く慢性蕁麻疹の中には、膠原病や内臓疾患を合併していることもある。
【非アレルギー性蕁麻疹】
アレルギー性の反応はないが、何らかの刺激でヒスタミンが肥満細胞から分泌されたり、神経末端よりアセチルコリンなどの物質が分泌され、それにより血管透過性が亢進して症状が出るものなどがある。その一方で、原因機序が確定していないため非アレルギー性と扱っているものも含まれる。
なお、アレルギー性と異なりヒスタミンなどの放出が長かったりして、すぐに治まるとは限らない。
非アレルギー性蕁麻疹は原因で分類すると寒冷蕁麻疹・日光蕁麻疹・コリン性蕁麻疹・クィンケ浮腫があります。
寒冷蕁麻疹:寒気、冷水にさらされた後にその暴露部位に膨疹が生じることをいう。もし寒冷蕁麻疹と診断されたら冷水中で泳ぐことは危険である。また冷たい飲み物(ビール、ジュース、水)を一気に飲むと咽頭や喉頭に浮腫を生じ呼吸困難になりやすい。ヒスタミンが分泌され蕁麻疹が生じるが、必ずしもアレルギー反応によるものでない。
日光蕁麻疹:日光照射後10ないし20分で照射部位に膨疹が生じるものを日光蕁麻疹という。膨疹は日光の当たった皮膚に限局して現れ、日光を避けると1~2時間くらいで痕跡を残さず消えていく。
光のエネルギーにより皮膚の成分が刺激されて構造が変化し、それが抗原となって即時型アレルギー反応が成立するという意見もあり、アレルギーの関与はまだ完全には否定できていない。
コリン性蕁麻疹:発汗、運動、精神的緊張などで交感神経が刺激された後、直径1cm以下の膨疹が出来るのをコリン性蕁麻疹という。膨疹の周囲に紅班が見られ痒いというより痛痒いと言う様子である。夕方から夜にかけて出て、大脳皮質が休んでいる夜間には出ない。本症の発生機序はよくわかっていないが発汗刺激因子により、中脳の発熱中枢が刺激され、コリン性神経を介して皮膚の神経末端でアセチルコリンが分泌され膨疹が生じるといわれている。
コリン性蕁麻疹はアセチルコリンに対して膨疹が生じる蕁麻疹であるが、ヒスタミンがどのように関与するかは報告者により異なる。汗の水分が皮脂と反応して中毒物質を生じ、これが吸収されて毛包周囲の肥満細胞からヒスタミンを遊離させるという説もある。以前から心因性蕁麻疹としてストレスによる蕁麻疹があるが、多くはアセチルコリンが関与しているとされている。
クィンケ浮腫:クィンケ浮腫は血管性浮腫(Angioedema)とも呼ばれ、ヒスタミンの他にセロトニン、その他血管作動性ペプチドが作用して浮腫が出来る。クィンケの浮腫は蕁麻疹と同じアレルギー機序が考えられているが、蕁麻疹(真皮上層)とは違ってより深い真皮から皮下組織に浮腫が生じる。
従って臨床的には顔瞼、口唇、頬などが限局性に腫脹するのが特徴で、熱感、瘙痒を伴う。咽頭粘膜や喉頭粘膜に浮腫が発生すると呼吸困難をきたすことがある。限局性の浮腫は数時間から数日持続する。クィンケの浮腫には前駆症状として食欲不振、胃腸障害、頭痛などが認められ、ただ単なる抗原―抗体反応だけでは説明がつかない事が多い。原因はよくわかっていないが薬剤、特にペニシリン系薬剤が関係しているといわれる。
3.蕁麻疹の西洋医学治療
抗ヒスタミン薬(H1 blocker)・抗アレルギー薬を使用するのが一般的。
外用剤は、抗ヒスタミン製剤のレスタミン軟膏や、ステロイド外用剤が使用される。
蕁麻疹の漢方治療ついてはこちら
>>蕁麻疹に対する漢方医学の認識と漢方薬治療
>>湿疹(皮膚炎)・アトピー・蕁麻疹の漢方治療と改善例
【皮膚科】漢方治療症例
>>乾燥性皮膚炎の痒みが漢方薬でみるみる軽快。自律神経の乱れも改善!
>>ステロイド性皮膚炎の漢方治療【アレグラ不要に】
>>アトピー性皮膚炎(10年以上)が漢方1年で寛解
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