基本情報

【症例】Aさん　30代、女性。160cm、50Kg、やや痩せ気味

【主訴】片頭痛・冷え・生理痛

【初診】約10年間、社会人になってから、片頭痛が出始めた、ピークの時期よりはだんだん緩和してきたが、週2回程度で発症、右側の拍動性痛み、吐くこともあり、15～30分間で自然緩和、最近目の奥にも痛みが出てきたような感じ。片頭痛が痛くない時に、目の奥にも痛くない。手足先が冷え、霜焼け（-）、偶に寝る前に足つり（+）、ストレス（++）。暖水好きで約1.5L飲む、コーヒー1杯/日。生理予定日2-3日前から生理2日目まで、生理痛あり、薬なしで我慢できますが、体が怠くて、力が出てこない。生理周期28～32日で、月経5日間、塊△、経月色は暗紅/紅色。生理前に片頭痛も出やすく、吐くことも多い、イライラする。便通正常、尿1日10回、他異常なし。寝つきが悪くないが、2時間ごとに目が覚める。夜トイレには行かないが、夢をよく見る。偶に翌日睡眠不足。軽度花粉症、薬はいらない程度。
脈は細く、やや弦。腹直筋やや硬い、心下痞（+）。淡紅舌、苔やや乾燥し、やや厚く、黄色い。

 

治療＆経過

初回相談より、呉茱萸湯を1週間分を投与した。

睡眠の改善は速かった。服用後3日目からもう途中覚醒が無くなり、熟睡できるように。その1週間に片頭痛は1回、夜に出たが、いつもより持続時間が長引いている。生理周期を確認してみると、生理前に頻発であることが分かった。発症の頻度が少なくなってきたら、同じ薬を継続し、更に生理痛を治療する折衝飲を渡した。

その後、生理痛はこれまでより軽くなった。低温期にいつも週2回位の頭痛はないが、排卵期にまた出てきた。ただし、痛みの程度や持続時間はいつもより良くなった。治療開始から2回目の生理は無事に来潮、頭痛はなっかた。

それ以降、仕事が忙しく、薬が切れている状態で3回目の生理を迎えた。生理の5日目に頭痛が出て、慌てて薬を貰いに来店。同じ薬で、その後の生理は無事に乗り越えることができた。薬を減量で継続服用しています。

コメント

片頭痛は激しい発作性頭痛で、左また右の片側、まれには両側にくることもあります。発作自汗は数時間から1～2日で、疲れた時や月経時などに起こりやすいです。発作の際には、食欲不振・悪心・嘔吐・光覚・聴覚および嗅覚の過敏を起こすことがあります。

呉茱萸湯（呉茱萸・人参・大棗・生姜）

効能又は効果：みぞおちが膨満して手足が冷えるものの次の諸症：頭痛、頭痛に伴う吐き気、しゃっくり※

※漢方業務指針　改訂4版　日本薬剤師会　編

激しい発作を繰り返す片頭痛には、この処方に応ずるものが多いです。発作の時に、痛む側の筋肉が収縮するから、肩から首にかけて酷く凝ります。特に発作時には嘔吐を伴い、このような状態があれば、呉茱萸湯を用います。これにより発作を抑制するばかりでなく、長期にわたって服用することで、発作のお悩みを解消できる可能性があります。

 

富士堂漢方薬局　　張　冬（ちょう　とう）

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