例年ならば、年末～1月にかけて流行のピークを迎えるインフルエンザですが、今年の冬は年末年始がかなり暖かかったこともあり、2月に入ってから流行のピークを迎えました。
西洋医学では、タミフル（内服）、イナビル（吸入）などが第一選択薬として使われますが、実は、漢方処方の中にもインフルエンザに使われる処方があります。以下にその例を挙げます。

【麻黄湯】　麻黄、桂皮、杏仁、甘草

風邪（インフル）の初期で、悪寒、頭痛、咳などがあり、身体の節々が痛むもの。
ただし、特に首から背中にかけてのこわばり、凝りがひどい場合は、【葛根湯】で治療することもあります。

【大青竜湯】　麻黄、石膏、桂皮、甘草、生姜、大棗

解熱、鎮咳作用のある麻黄が麻黄湯の倍量入っている上に、熱を抑え、口の渇きを抑える石膏も入っているため、解熱効果は麻黄湯よりも高くなっています。ただし、体力のある人向けで、高齢者や小児へはほとんど投与されません。

【麻黄附子細辛湯】　麻黄、附子末、細辛

風邪（インフル）の初期で、悪寒、発熱があり、全身倦怠感、四肢の冷えがひどく、全身の衰弱が激しい場合に処方されます。体力のない高齢者にも投与可能です。
インフルエンザがなかなか治りきらない、あるいは、熱が下がっても身体のだるさが取りきれない場合は、気を補い、体の抵抗力を高める黄耆や人参、附子末を使って治療を行います。たとえば、これらが入った補中益気湯、真武湯などで治療を行うこともあります。
個々人の生体反応と抵抗力には個人差があり、同じインフルエンザに罹患しても重症になる方がおられる一方で、ほとんど発熱がなく、体の節々の痛みだけで終わってしまう方もおられます。
漢方医学はこういった個々人の症状、体質に合わせて処方を選ぶことが重要となります。
同じインフルエンザでも人によって選ぶ漢方処方が異なります。
インフルエンザや風邪でお困りの方は、一度ご相談下さい。

富士堂漢方薬局　薬剤師　吉房純子