二日酔いの原因と対策：漢方で症状を軽減する方法

お酒の席は古来より親交を深めたり、ビジネスを発展させたりと、私たちの社会において大きな役割を果たしてきました。しかし、その一方で、多くの人が経験するのが 二日酔い です。翌朝の 頭痛、吐き気、嘔吐、喉の渇き、胸のむかつき、体の震え などの症状は、アルコールの過剰摂取によって引き起こされるものです。

東洋医学では、昔から 二日酔いの治療薬・予防薬として漢方 が用いられてきました。現代医学の視点からも漢方は有効とされており、体質や症状に合わせた漢方を選ぶことで、二日酔いを和らげることができます。

この記事では、二日酔いのメカニズムと漢方による対策 を詳しく解説します。

二日酔いのメカニズム

1. アルコールの分解とアセトアルデヒドの蓄積

お酒を飲むと、体内では エタノール（アルコール） が アセトアルデヒド に分解されます。このアセトアルデヒドは、毒性が強く、頭痛や吐き気、動悸を引き起こす ことが知られています。

アルコールの分解過程：

1. エタノール（アルコール） → 肝臓で アセトアルデヒド に変換（アルコール脱水素酵素による）


2. アセトアルデヒド → 酢酸に分解される（アルデヒド脱水素酵素による）


3. 酢酸 は最終的に二酸化炭素と水に分解され、体外へ排出される

しかし アセトアルデヒドの分解が遅い人 や 飲酒量が多い場合、アセトアルデヒドが体内に蓄積し、二日酔いの原因になります。

 

2. 脱水症状と電解質のバランス崩壊

アルコールは 利尿作用 を持ち、飲酒後は通常より多くの水分が排出されます。その結果、脱水症状 が引き起こされ、喉の渇きや頭痛が発生します。

 

3. 血糖値の低下

アルコールは肝臓での糖新生を抑制するため、血糖値が低下しやすくなります。これにより、めまいや倦怠感 などの症状が現れます。

 

4. 胃の粘膜の炎症

アルコールが胃粘膜を刺激することで、胃酸の分泌が過剰になり、胃の炎症を引き起こす ことがあります。これが 吐き気や胸焼けの原因 となります。

漢方による二日酔い対策

二日酔いのメカニズムを踏まえ、症状別に適した漢方薬を紹介します。

 

●五苓散(ごれいさん)

ひどい喉の渇きを感じることが多く顔色が真っ青になる、もしくは顔色が変わらないタイプ(=血管が収縮し循環が悪くなる方)によく使われます。喉の渇きはアルコールの利尿作用により体内の水分が排出されて脱水状態に陥っているためと考えられています。

 

●黄連解毒丸(おうれんげどくがん)

血管が拡張し大量にアルコール分が血液に流入することにより、目の充血やのぼせが起き、結果的に顔が赤くなったり熱くなったりする方によく合います。五苓散と黄連解毒丸を併用する場合もあります。

 

●半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)

お酒を飲むとお腹が痛くなったり下痢をしたりする方によく使われます。このタイプは普段から胃腸が弱く、軟便・下痢傾向にあり、飲酒後には吐き気や嘔吐といった胃腸障害を伴う傾向にあります。これはアルコールが胃粘膜を刺激することで、胃酸が過剰に分泌され胃炎をおこしている状態です。

 

●牛黄(ごおう)

タイプ問わず広く使われます。牛黄とは牛の胆石で、貴重薬のひとつでもあり、肝臓のアルコール分解能力の向上や脳・神経機能を保護する役割があります。即効性が高く、効果を明確に実感できることから、予防薬・常備薬としてストックしている方も多くいらっしゃいます。
富士堂ではカイキョーという商品名の牛黄を取り扱っております。

二日酔いを防ぐための対策

1. 水分補給をしっかり行う

アルコールの利尿作用による脱水を防ぐため、飲酒前後で 水を多めに飲む ことが重要です。

 

2. 食事をしっかり摂る

空腹時の飲酒はアルコールの吸収を早めるため、炭水化物やタンパク質を含む食事 を取ることが推奨されます。

 

3. 適量を守る

最も確実な対策は、飲酒量をコントロールすること です。自分の体質を理解し、適量を心がけましょう。

 

まとめ

二日酔いは アセトアルデヒドの蓄積、脱水、胃の炎症 などが原因で発生します。東洋医学では 五苓散、黄連解毒丸、半夏瀉心湯、牛黄 などの漢方が症状に合わせて活用されてきました。
適量を守ることが最も重要ですが、自分の体質を理解し、適切な漢方を選ぶことで二日酔いを軽減することができます。

【関連項目】
>>記事「漢方医学からみる冬の健康」
>>記事「【症例】呉茱萸湯が効いた片頭痛1例」
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【参考資料】
>>厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」
>>e-ヘルスネット「アルコールによる健康障害」